ドリフターズのコントで、「もしも、こんな○○だったら?」というシリーズがありました。例えば「もしも回転寿司屋で回ってくるのが寿司ではなく、人間が回っていたら!?」など。ご長寿番組の笑点でも「もしもシリーズ」がありました。こんな「もしもシリーズ」からヒントを得て、「もしも牧師が女子大生だったら」ちょっと驚くかな? と思い「うちの牧師は女子大生!?」というタイトルで本(まだ原稿の段階ですが)をコツコツ書いています。
このタイトルの通り、実際に私は東京の大学を受験して合格し、2022年度から現役女子大生をしています(リモートで学んでいます)。ジェンダーフリーの時代ですから「女子大生」ではなく、「うちの牧師は大学生!?」というタイトルでも良かったかもしれないのですが、男性の牧師がまだまだ圧倒的に多い中で、女性牧師の存在をもっと知っていただきたいという思いもあり、あえて「女子大生」という言葉を使いました。
そして、新居浜教会の信徒さんたちが親しみを込めて私のことを「うちの牧師」と呼んでくださるので、「うちの牧師は女子大生!?」というタイトルになりました。
なぜ私が現役牧師をしながら、現役女子大生をしているのかというと、①純粋に大学に入っていろいろなことを学んでみたかったから。②毎日、聖書を読み、神学ばかりをしていたら、一般的な感覚や世間のことが分からなくなってしまうのでは? 気づかないうちに心理的盲点ができてしまうのではないか、という懸念があったから。③教会で若い人たちが来るのを待っているより、自分が若い人たちのいるところに飛び込み、女子大生になることで学生さんたちとお友だちになり、教会に若い人たちが来てくれるかもしれないと思ったから。
これらが主な理由です。そのためあえてキリスト教系の大学ではなく、一般の大学を受験しました。現在大学3年生になり、多少なりとも見識が広がり、多くの学友とも出会うことができました。そして実際に若い方々が教会においでくださるようになり、10代から40代の受洗者が次々に与えられました。また大学のOBの方々まで教会においでくださるようになり、礼拝人数も少し増えました。さらに驚いたことに今年3月には法政大学大学院政策創造研究科のシンポジウムにも招かれ、基調講演とパネルディスカッションのパネラーをさせていただき、学生や院生、教授、一般の方々の前で語る機会をいただいたのです。こうしたことは、私が牧師の立場だけであったならば、決して与えられなかった機会だったのではないかと思うのです。
現役牧師が現役女子大生も兼ねるということは、かなり無謀なチャレンジでもありましたが、視野が広がり、人間関係も広がり、教会にも若い方々が来られるようになりました。これからも意識的にさまざまなことにチャレンジし、年代、宗教関係なく、多くの方々と出会っていきたいと思います。
ひろせ・かおり 1974年東京生まれ。横浜女子短期大学、東京聖書学校卒業後、日本基督教団秋鹿教会を経て、日本基督教団新居浜教会主任牧師。牧師をしながらShepherd大学大学院で学び、修士号取得。現在も牧師をしながら早稲田大学に在学中。国際ソロプチミストルビー賞受賞。趣味:猫と遊ぶ。水族館や動物園に行く。