1月9日、陸上自衛隊小林弘樹幕僚副長をはじめとする陸上自衛隊幹部らが集団で靖国神社に参拝したことに対し、日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会(星出卓也委員長)は2月5日、抗議声明を発出した。
声明は、これまでも自衛隊による集団参拝が繰り返されてきたことを挙げ、「政教分離原則違反の行為が常態化していた疑い」を指摘。防衛省が行った「処分」の理由が「公用車の不当利用」だけしか触れられず、組織として靖国神社に集団参拝したという憲法違反については曖昧なまま触れられていないことから、「極めて不十分な処分」だとして、厳重な指導を行うべきだと主張した。
◇
日本カトリック正義と平和協議会(ウェイン・バーント会長、エドガル・ガクタン担当司教)は2月11日に抗議声明を発出し、政教分離とシビリアンコントロールの原則の堅持を求めた。
公務員である自衛官は、「国民全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し」「常に公正な職務の執行に当たらなければならない」との「倫理規準」を負う者であり、靖国神社を公務であるかのように参拝することは、戦後の自衛隊のあり方から逸脱しており、参拝を自衛官に強制するのであれば、自衛官個人の信教の自由を侵害することにもつながると指摘した。
◇
日本基督教団西中国教区靖国天皇制問題特別委員会(松本朋久委員長)は1月14日に抗議声明を発出し、岸田文雄首相と木原稔防衛相に対し、「憲法に基づく文民統制の勤めを果たし、自衛隊には猛省するよう監督指導するのみならず、人事刷新はもとより、氷山の一角に違いないこの事態の根底にある膿を出し、徹底的に洗浄すること」を要望した。
◇
平和をつくり出す宗教者ネット、日本カトリック正義と平和協議会、平和を実現するキリスト者ネット、基地のない沖縄をめざす宗教者の集い、ミサイル基地はいらない宮古島住民連絡会の5団体は連名で2月14日、「宗教者・市民共同声明」を発表。1月10日に陸自幹部約20人が沖縄県宮古島市の宮古神社に参拝したこと、および前日9日の靖国神社参拝に抗議し、これらの行動が「防衛省事務次官通達」(1974年11月19日)に抵触し、自衛隊に対する文民統制の原理を破壊するもので、「わが国の平和憲法の保障する民主主義に対する破壊的行為とみなさざるを得ません」と訴えた。