礼拝後のお茶はいつから? 平林冬樹 【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】

Q.礼拝後にお茶を飲んだり食事をしたりする習慣はいつから始まったのですか?(20代・女性)

カトリック教会では、主日のミサの後、参加者全員を対象にした食事会を行うところは、そう多くないように思います。それでも、ミサ後に教会内の信徒会館などで、しばし茶菓を楽しむところは、かなりあると思います。礼拝のあとのお茶会やお食事会は、とりわけ楽しいものですね。

ところで、人は嬉しいにつけ悲しいにつけ、人生の大切な節目に祭りを行います。結婚、出産、人生を終えるとき、必ずと言っていいほど祭りが伴います。そのうえ、出来事が大切であればあるほど、それを繰り返し記念します。誕生日、結婚記念日、法事や命日祭などです。記念は、ただ思い起こすだけの行為ではありません。人生を変えた出来事から得た力をよみがえらせ、新たな勇気を与えてくれます。

そして面白いことに、祭りとその記念が共同体のものであれば、食事を伴うのが常でしょう。共にする食事は、個人の体を養うだけでなく、共同体全体を養い育て、守る力を持っているからです。親しい10人と食事をともにすれば、喜びは10倍に、悲しみは10分の1になります。共に食べ、共に飲むことは、親しさを測る尺度と言えるでしょう。どうやら祭りと記念と食事は、とても深い関係にあるようです。

初代教会のころ、礼拝は食事と深く結びついていたようです。それはイエスが弟子たちと祝った最後の晩餐に由来すると言われます。また特にルカ福音書は、神の国を、たびたび宴会に例えています。

そこでキリスト者は、主の日と呼ばれる日曜日の朝、信者の家に集まり、食事をしながら長老の語るイエスの思い出話を聞き、各自の信仰を分かち合います。そして長老からパンとブドウ酒をいただいてイエスの過ぎ越しの記念を祝う祭りとしました。聖餐式の原型です。

時代が下るにつれ、礼拝の儀式と食事は別になりました。それでも礼拝の後、食事をともにする習わしは、今も教派を超えて広く行われており、信仰を強め合うよすがになっています。

*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。

ひらばやし・ふゆき 1951年フランス、パリ生まれ。イエズス会司祭。上智大学大学院神学研究科博士前期課程、教皇庁立グレゴリアーナ大学大学院教義神学専攻博士後期課程修了。教皇庁諸宗教対話評議会東アジア担当、(宗)カトリック中央協議会秘書室広報部長、 研究企画部長などを経て、日本カトリック司教協議会列聖推進委員会秘書、上智大学神学部非常勤講師。

【既刊】『教会では聞けない「21世紀」信仰問答I -まずは基礎編』 上林順一郎監修

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