日本基督教団カルト問題連絡会は10月23日、「いわゆる『宗教二世』問題を新たに作らないための約束と宣言」を発表した。「宗教2世」問題が「キリスト教会にとっても無縁ではなく、同様の問題を起こしてないか、今後新たに起こさないか、自己を振り返りつつ、注意していく責任」があると明言した上で、「信徒、教師、教会が、子どもたちに対して『何をしてはならないと考えているか』を表明する」ために「誠実な信仰継承の仕方について問い続けるための叩き台」として活用してほしいとして、以下の8点を挙げた。
「子どもたちの『信じる自由』と『信じない自由』を尊重する」「『教育』や『しつけ』と称する虐待、ハラスメントを支持しない」「裁きや罰、地獄や終末への恐怖を用いて自由にものを言えなくし、疑問を拒絶して、大人の指示に従わせることを行わない」「子どもたちに必要な通院、入院、投薬を妨げない」「生活が破綻するような献金や、子どもを長時間放置するような奉仕を支持しない」「子どもたちの友人関係や交際相手を規制しない」「信仰から離れた家族との接触を禁じたり、コミュニケーションを制限したりすることを行わない」「子どもたちの教育を受ける権利を侵害しない」
「約束と宣言」の全文は以下の通り。
いわゆる「宗教二世」問題を新たに作らないための約束と宣言
昨今、世間で注目を浴びている、いわゆる「宗教二世」(宗教団体に属する親が、法令に違反する行為や人権侵害を容認する教えや指導に従うことで、尊厳を傷つけられてきた子どもたち)の問題は、私たちキリスト教会にとっても無縁ではなく、同様の問題を起こしてないか、今後新たに起こさないか、自己を振り返りつつ、注意していく責任があります。
複数の報道で知られるような、いわゆる「宗教二世」の中には、同じ組織の者以外と遊んだり、交流を持ったりすることが制限され、社会の常識や共通認識を身につける機会を奪われて、成人しても、世間とのギャップに苦しみ、自立困難な道を歩まされている人がいます。また、親が属する団体を「カルト」と呼ぶ人たちへの不信感や恐怖心を刷り込まれ、容易に周囲へ相談できない状況が作られています。
このような問題を新たに作り出さないために、それぞれの信徒、教師、教会が、子どもたちに対して「何をしてはならないと考えているか」を表明する、約束と宣言を作りました。この約束と宣言は、誠実な信仰継承の仕方について問い続けるための叩き台であり、各教会、各地区、各教区で話し合って、この問題に対する、それぞれの姿勢を表明する際、用いていただくことを願うものです。
①私たちは、子どもたちの「信じる自由」と「信じない自由」を尊重します。本人の意志を無視して会員になるための信仰告白をさせること、勧誘などの伝道活動を強要しません。
②私たちは、いかなる理由でも、子どもたちへの暴力は許されないと、繰り返し、確認し続けます。「教育」や「しつけ」と称する虐待、ハラスメントを支持しません。
③私たちは、宗教的観念で子どもたちを脅しません。裁きや罰、地獄や終末への恐怖を用いて自由にものを言えなくし、疑問を拒絶して、大人の指示に従わせることを行いません。
④私たちは、子どもたちの医療へのアクセスを制限しません。子どもたちに必要な通院、入院、投薬を妨げません。
⑤私たちは、生活が破綻するような献金や、子どもを長時間放置するような奉仕を支持しません。子どもの健康、成長、進学に必要なお金と時間を奪いません。
⑥私たちは、子どもたちが、同じ組織の者以外と遊んだり、交流を持ったりすることを制限しません。子どもたちの友人関係や交際相手を規制しません。
⑦私たちは、信仰を持たない子どもたちと家族との関係を破壊しません。信仰から離れた家族との接触を禁じたり、コミュニケーションを制限したりすることを行いません。
⑧私たちは、子どもたちの教育を受ける権利を侵害しません。教会活動へ従事させるために、子どもたちの進学、就職を妨害しません。
2023年10月23日 日本基督教団カルト問題連絡会