教皇特使ズッピ枢機卿の中国訪問は9月13~15日に決まった。北京発時事通信報道から紹介する。
公式には「中国政府高官とウクライナ問題を協議」と説明されているが、外交関係のないバチカン(ローマ教皇庁)の特使訪中は異例。台湾と断交して中国との国交樹立に踏み切る第一歩ではないかとの見方も出ている。
バチカンによると、枢機卿は北京で中国政府の李輝ユーラシア事務特別代表と会談し、ウクライナ和平に向けた道を共に探ることで一致した。枢機卿は6月にウクライナとロシア、7月に米国を訪れている。
バチカンと中国は1951年に断交した。中国のカトリック信徒は1千万人以上いるとされ、政府公認教会と非公認の「地下教会」に分裂している。バチカンは中国側が選んだ司教を原則的に認めてこなかったが、2018年に暫定合意を締結した。中国側が候補を選び、教皇が是非を判断する仕組みとされる。
バチカンにとって14億の人口を抱える中国は、信徒を増やす上で魅力的だ。今月初めには中国に隣接するモンゴルを教皇が初訪問。中国を強く意識していたとみられ、滞在中に中国の信徒に向けて「良きクリスチャン、良き市民であれ」と呼び掛けている。
教皇をトップとするバチカン市国は、台湾が外交関係を結ぶ欧州唯一の国。中国はバチカンとの接近が、台湾の民進党政権を追い詰めるのに役立つと考えているようだ。(CJC)