Q.最近はやり出したハロウィンは、本当にキリスト教の行事なのですか?(10代・女性)
ハロウィンは、10月31日の夜、魔女やお化けなど思い思いの仮装をした子どもたちが、オレンジ色のかぼちゃに怖い顔を刻んだ「ジャック・オ・ランタン」を目印に、家々を「トリクック・オア・トリート(いたずらかごちそうか)」といってお菓子をねだってまわる、アメリカなどではおなじみの楽しい行事です。
実は私、恥ずかしながら告白すると、アメリカに滞在中に魔女の衣装でご近所を巡りお菓子をもらったことがあります。楽しくて心はすっかり子どもに戻っていましたが、実際にはかなりの年齢でしたので、とがめたりせず笑顔でお菓子を手渡してくれたみなさんのやさしさ、温かさが懐かしく思い出されます。
このハロウィン、日本でも最近急に広まりましたが、確かにキリスト教の行事だとしたらちょっと変ですよね。魔女もお化けもキリスト教とは何だか相いれませんものね。
ハロウィンはもともとケルト人の習慣で、ちょうど日本のお盆のように死者の霊が家族のもとに帰ってくる日だと信じられ、あわせて魑魅魍魎も地上に出てくると考えられたことから、前述のような行事となったのです。
とはいえハロウィンという言葉自体はキリスト教に関係があります。11月初めはキリスト教各派で多少の違いはありますが、亡くなった方たちを覚える時としています。ハロウィンとはカトリックの「All Hallows(諸聖人の日)」の「Eve(前夜)」がなまったものだからです。
死者を覚えることは、立場の違いを超えて大切なことです。日本ではお盆などがそうした時ですが、クリスチャンはその習慣を持たないことから、死者に対して冷たいと誤解されることもあるかもしれません。
大人の私にお菓子をくださった方々のように広い心でハロウィンをとらえ、みんなで楽しみつつ、キリスト教でも亡くなった方との交わりを大切にしていること、何よりもイエスさまによる復活の希望に支えられていることをお伝えするきっかけにできたらいいですね。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
やました・ともこ 福島県生まれ。同志社大学大学院神学研究科博士課程(前期)修了