国際基督教大学(ICU、岩切正一郎学長)で5月19日、「バチバチ?! シンポジウム――キリスト教派間対話」と題する催しが行われた。同大学同窓会支部の「基督教伝道献身者の会」が学生C-Week実行委員会に対しイベントの共同開催を持ちかけ、それを同委員会が受け留めて実現したもの。学生、同窓生、神学生ら約70人が参加した。
同大を卒業した伝道献身者の中から選ばれたパネリストは、ウィリアムズ郁子(英国国教会)、小野慈美(日本バプテスト同盟)、河野克也(日本ホーリネス教団)、荒井偉作(日本基督教団)の各氏。司会は実行委員長の土屋至穂璃氏(3年生)が務めた。学生時代の思い出も含めた自己紹介の後、各教派の特徴が紹介され、司会者および会場からの質問に答えるかたちで会は進行した。
質問は、「なぜ多くの教派に別れてしまったのか」「洗礼はなぜ受けなければならないのか」「どの教派が自分にしっくりくるかはどうしたら分かるか」「他教派をどう思っているか」「教会は一つになれると思うか。一つになりたいか」など多岐にわたり、熱のこもったやり取りが展開された。
「私たちは各教派を背負って来ているわけではなく、ICUの卒業生として〝違うものも受け入れるのは当たり前〟という感覚で来ている」というパネリストの発言に象徴されるとおり、学生側が期待した「バチバチ」とは裏腹に、議論は終始「平和的」に行われた。
同窓生として運営に携わった「基督教伝道献身者の会」支部長の有馬平吉氏(元ICU高校教諭)は、「このような教派間の話し合いは摩擦も生じやすくなかなかできない現実がある中で、ICUの卒業生同士で違った教派の教職者たちが、現役学生の司会によりこのような会が持てたところに、大きな意義があった」と振り返り、「今後の『教派間対話』のモデルになるかもしれない」と期待を込めた。
登壇したパネリストからは、「東京神学大学(東神大)の教師として『福音派』の牧師が加わるというのは画期的。また、東京基督教大学(TCU)の神学生と東神大の神学生とが交流を始めた。不思議な融合が起こっている。教派や神学校で分けられない面も出てきている」「〝リベラル〟というのは政治的に左ということではなく〝対話的ということ〟だと理解する。右でオープンな人もいれば、左で頑固な人もいる。〝対話的であり続ける〟ことを、私たちはこれからも大事にしていこう」などの意見が聞かれた。