疲れた者、重荷を負う者は、
だれでもわたしのもとに来なさい。
休ませてあげよう。
(マタイによる福音書11章28節)
イエス・キリストが人々に語りかけた有名な言葉。
花の詩画集で有名な星野富弘さんは1946年、
群馬県に生まれた。
高校生のとき、家の裏の墓地にあった白い十字架に
「労する者・重荷を負ふ者、われに来れ」と書かれていたのを見たのが、
聖書の言葉との最初の出会いだった。
その後、中学校の体育教師になるが、
クラブ活動の指導中の事故で
頸髄を損傷し、手足の自由を失うことに。
そんな入院中に聖書を読んでいて
この言葉を見つけた。
「私がまだ健康で
なにも知らないで飛び回っていた頃からすでに、
私にこの言葉を与えてくれていた、
神さまのこころを知ったような気がした。……
この神の言葉にしたがってみたいと思った。
クリスチャンといえる資格は何も持っていない私だけれど、
『来い』というこの人の近くにいきたいと思った」。
そして2年後の1974年、病床洗礼を受けたときにも、
この言葉を思い出す。
「キリストの『私の所へきなさい』という言葉に、
素直についていきたいと思った。
私のいまの苦しみは
洗礼を受けたからといって
少なくなるものではないと思うけれど、
人を羨んだり、憎んだり、許せなかったり、
そういうみにくい自分を、
忍耐強く許してくれる神の前にひざまずきたかった」。
星野さんは現在も、
洗礼を受けた日本福音キリスト教会連合前橋キリスト教会の教会員だ。
星野富弘『愛、深き淵より。』(立風書房)から。