7月4日に「愛国心」示す米教会が減少 愛するのは神?国?

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ライフウェイ・リサーチがアメリカのプロテスタント教会牧師1000人を対象に行った調査によると、多数の牧師(56%)は、独立記念日である7月4日の週の礼拝に、愛国的要素を取り入れてアメリカを祝うことが重要であるとし、その内27%は強く同意しているという。5人に2人の牧師(42%)は「そう思わない」と答え、2%が「よく分からない」と答えた。これらの調査結果は、61%の牧師が愛国的礼拝の要素を重要だと感じていた2016年の同調査からやや減少した傾向を示す。「クリスチャニティ・トゥディ」が報じた。

「キリスト教のカレンダーにある日付ではないが、ほとんどのプロテスタント教会は毎年7月にアメリカの独立を認めるために礼拝を調整している」と、ライフウェイ・リサーチのエグゼクティブ・ディレクター、スコット・マコーネル氏は述べる。「ほとんどの教会にとって、これは単なる伝統ではない。大多数の牧師は、それを礼拝体験に取り入れることが重要であると考えている」

大卒以外の牧師(70%)または学士号の牧師(67%)は、修士号(46%)や博士号(50%)をもつ牧師よりも、アメリカを祝う要素を重視する傾向が強い。福音派の牧師(64%)は、主流派の牧師(48%)よりも、礼拝で愛国的な要素をタイムリーに取り入れることを重視している。

教派別では、ペンテコステ派の牧師(77%)と超教派の教会(70%)は、メソジスト派(52%)、ルーテル派(48%)、長老派/改革派(44%)、復古派の牧師(29%)よりも、独立記念日を祝うことに価値を見出す傾向が強い。

具体的な礼拝の変化

愛国的要素の重要性についての意見にかかわらず、独立記念日の週に通常通り礼拝を行う牧師はほとんどいない。米国プロテスタント牧師の15%だけ、他の週と変わらず通常通りの礼拝を行っている。

ほとんどの牧師は、7月4日(独立記念日)の変更点(他の週の礼拝との違い)として、退役軍人とその家族を称えることと、愛国的な音楽を取り入れるという。過半数が、現在軍隊に所属している家族を持つ人を称える(59%)、アメリカを称える特別な音楽を入れる(58%)、生存中の退役軍人を称える(56%)、祖国に尽くした愛する人を失った家族を称える(54%)と答えている。

10人中3人の牧師が、アメリカを称える他の特別な式典を含めると答え、14%が礼拝に他の変更を加えている。

「昨今の記念礼拝の変化は、2016年に牧師たちが説明したものと似ており、軍で奉仕した人々に大きな重点が置かれている」とマコンネル氏は述べる。「最大の変化は、アメリカに関連する特別な音楽取り入れる教会が減っていることだ(2016年の66%に対し58%)」

65歳以上の牧師と南部の牧師は、自分の教会がその変更(独立記念日特別礼拝)を行うと述べる可能性が最も高い。

出席者が250人以上の大規模教会の牧師は、7月4日の週の礼拝で、現在軍隊に所属する家族を持つ人(68%)、存命の退役軍人(66%)、祖国に尽くした愛する人を失った家族(63%)を称えると答える可能性が最も高い。

一方、出席者が50人未満(60%)もしくは50人から99人(61%)の小規模教会では、礼拝の変更にアメリカを称える特別な音楽を含めると答える率が最も高い。

18歳から44歳の若い牧師は、礼拝に愛国的要素を加える必要はないと答える率が最も高い(65%)。また、バプテスト(12%)、メソジスト(12%)、ペンテコステ(10%)、無教会(8%)よりも、復古主義運動の牧師(31%)の方が、何も変えないという傾向が強いようだ。

通年での国旗掲揚

愛国的な祝日は別として、米国のプロテスタント教会牧師の3分の2は、教会で1年中米国旗を掲げることに何の問題もないと考えている。ライフウェイ・リサーチ社の調査によると、67%が教会が年間を通してアメリカ国旗を掲げることは適切であると回答している。また28%は「そう思わない」と答え、5%は「よく分からない」と回答した。

礼拝で通年の国旗掲揚に賛成する人の割合は、2016年のライフウェイ・リサーチの調査で示された74%からわずかに減少している。「国旗の掲揚に関して具体的な指針を示す教派もあるが、ほとんどの会衆は独自に決めている」とマコンネル氏は述べる。「国旗は象徴であるため、人によってさまざまな意味を持つことが多い。だから、多くの教会で国旗がある理由をめぐる議論も、同じように多様になり得る」

65歳以上の牧師(81%)と大卒以外の牧師(79%)は、通年でアメリカ国旗を飾ることを容認する傾向が強いことから、世代や教育の隔たりもまた明らかである。

国を愛するか、神を愛するか?

ほとんどの教会では、愛国的な要素を建物や礼拝に取り入れることに抵抗はないが、米国のプロテスタント牧師の中には、自分たちの信徒があまりにも行き過ぎた行為をしているのではないかと心配する人もいるようだ。ほぼ5人に2人(38%)が、信徒のアメリカへの愛が、神への愛よりも大きいように見えることがあると答えている。5人に3人(59%)が「そう思わない」と答え、3%が「よく分からない」と答えている。

これは、大多数の牧師(53%)が、信徒が時折、神よりも国への献身が大きいことを心配すると表明した2016年から大幅に減少している。「過去6年間で、多くの牧師が会衆の愛国的な偶像崇拝について懸念していたことは薄れている」とマコンネル氏は言う。「どんな偶像でもそうだが、神よりも国を優先し、崇拝し、依存する誘惑はいつでも再浮上する可能性がある」

若い牧師は、最古参の牧師よりも懸念している。18歳から44歳(47%)、45歳から54歳(42%)の牧師は、65歳以上の牧師(29%)よりも、自分の信徒が神よりもアメリカを愛しているように見えることがあると述べる。

礼拝に愛国的な要素を取り入れる傾向が最も強い南部の牧師(39%)と中西部の牧師(42%)は、北東部の牧師(29%)よりも、会衆の神よりも国を重んじる誤った「献身」を心配する傾向が強いようだ。

(翻訳協力=中山信之)

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