米国とカナダの教会からなる福音主義の小教派、北米キリスト改革派教会(CRC)は6月15日の年次総会で、同性愛間の性行為へ反対する姿勢を信仰告白に取り入れ、成文化することを決議した。「クリスチャニティ・トゥディ」が報じた。
ミシガン州グランドラピッズのカルヴァン大学で行われた123対53の採決は、前回2016年、セクシュアリティをめぐる「聖書神学」の研究委員会設立の決議に端を発するプロセスに蓋(ふた)をするものだった。
2日間の長い議論を経た投票は、教団が許容しない「性的不道徳」にあたる「姦通、婚前交渉、婚外交渉、ポリアモリー、ポルノ、同性愛」を含むリストを承認した。「教会は、これらの罪、また偶像崇拝や強欲などの罪を悔い改めない者は神の国を受け継ぐことができないと会員に警告しなければならない」と報告書は指摘する。「魂の救いのために、このような罪を悔い改めることを拒否する者を懲らしめなければならない」
しかし、190人の代表者たちは、同性愛についての議論に多くの時間を費やした。いわゆる「ヒューマンセクシュアリティ報告書」を可決し、その教えを「信仰告白」にまで引き上げることは、LGBTQの人々や、性についての異なる理解を持つ若い世代のCRC会員を遠ざけるだろうと、多くの人が懸念している。「この動議はLGBTQの人々を傷つけ、教会の証しを傷つけ、これを『告白』と名づけることは人々と組織に悲惨な結果をもたらすだろう」と、この動議に反対票を投じた会議代表の1人は話す。
この投票は、カルヴァン大学にも深い影響を与えるだろう。昨年12月にはカルヴァン大学の教員の3分の1が「ヒューマンセクシュアリティ報告書」に対する懸念を表明する書簡に署名し、現在、一部の教員が辞職する見込みとなっている。
カルヴァン大学の教員は、CRCの歴史的信条と告白に沿うという文書に署名する必要がある。この文書が、今後どのような状況になるかは明らかではない。「多くの人が履歴書を磨き、他に何があるか調べ始め、辞める準備をしている」と、同大学の歴史学の教授で、スター教員の1人であるクリスティン・コベス・デュ・メズ氏は語った。
同大学は、LGBTQの学生を支援する牧会的なアプローチで、キリスト教系の高等教育界ではよく知られている。学生団体「セクシュアリティ&ジェンダー・アライアンス」の学内機能を認め、2020~21年度にはゲイを表明する生徒会長を認めた。
しかし、教会の教えからの教員による逸脱に対しては寛容ではない。今年、ある教授が同性婚の司式に同意した後、大学はその教授の2年間の任期を更新しなかった。また、この結婚式を機に結婚相手の1人が働いていた長年の研究センター「社会調査センター」と大学の関係も断たれた。
オランダ改革派教会をルーツとし、会員数20万4664人を擁するこの教団は、結婚は男女1人ずつだけによるものだと常に説いてきた。しかし、長年にわたり、LGBTQの当事者への奉仕活動において、教会にある程度の自由度を与えてきた。1973年の同性愛に関する報告書では、同性に惹かれること自体は罪ではなく、人は誰に惹かれるかを選ぶことはできないとし、同性愛行為と同性愛指向を区別している。
以来、多くの教会がLGBTQ当事者をオープンにし、肯定するようになり、中には彼らを助祭に聖化する教会も出てきた。トロントの教会もその一つで、近年ではグランドラピッズのいくつかの教会とオハイオ州アクロンの教会がLGBTQ当事者を会員として迎え入れたり、助祭や聖職に就かせたりしている。
今年の年次総会の動きは、全米でLGBTQの獲得に対する反発が強まっている中で行われた。フロリダ州のロン・デサンティス知事は今年初め、フロリダ州の学校において、一部の年齢層に対して性自認や性的指向について教室で議論することを禁止する法案に署名した。共和党の州議会議員からは、教室での議論やLGBTQコミュニティに関する書籍へのアクセスを制限し、トランスジェンダーの生徒への医療を妨害する法案が何十と提出されている。
リベラル派のキリスト教会は過去20年間、同性カップルと結婚したり、LGBTQの人々を聖職者に任命したりして、LGBTQを肯定してきたが、中道・保守派の教会はそうした融和に抵抗してきた。全米第2位のプロテスタント教派である合同メソジスト教会は、この問題で分裂している。
より身近なところでは、CRCに近いアメリカ改革派教会(RCA)の少なくとも43の神学的に保守的な信徒が今年、LGBTQの受け入れをめぐって同教団から分裂している。LGBTQをめぐる問題は、RCAほどではないものの、CRCも引き裂くだろうと予測する見方もある。CRCでは、離脱するのはよりリベラルな教会かもしれない。
(翻訳協力=中山信之)