Q.経済的な事情から葬儀はしたくないという教会員に対して、どう対処すればよいでしょうか。(60代・教会役員)
あなたは葬儀をしたくないという教会員の対応に困っているのですね。なぜそんなに困っているのでしょうか。もし事情があるのだから葬儀を行わなくても仕方がないと思っていたら、わざわざ質問したりはしないはずです。だからきっとあなたはどんな時も葬儀は当然するべきだ、葬儀をしたくないなんてとんでもないと心のどこかで考えているのかもしれませんね。
どうやらこの問題に関してあなたの一番の関心事は、葬儀をするかしないかであるようです。もちろん私も葬儀は重要だと思いますよ。でも少し気になるのは、大切な教会の仲間が抱えている事情が後回しになっているように感じられることです。
一方、教会役員であるあなたを信頼して葬儀をしたくないと打ち明けた教会員の一番の関心事は別のところにあるようですね。それは経済的な事情が許すか許さないかです。そして、事情が許さないので葬儀をしたくないのです。ということは、もし経済的な事情が許すならばこの方も葬儀をしたいのではないでしょうか。だからこそ、ついつい苦しい胸の内をあなたに語ったのでしょう。
それならば、あなたが葬儀をしたくないというその方の言葉について考えるのをやめ、そう言わなくてはいけなかったその方の事情についてよく考え、経済的な問題が解決するよう神さまの助けを求めつつ知恵と力を尽くすことで、きっと状況は変わるはずです。
具体的には牧師や葬儀社とよく相談の上、葬儀にどうしても必要なもの以外を省けば、その方の経済的な負担はかなり少なくなるはずです。
また、教会はキリストをかしらとする愛のきずなで結ばれた交わりですから、葬儀をその方個人の家の問題とせず、教会の問題としてみんなで受け止めれば、おのずと教会として判断し、助け合うべきところも見えてくるのではないでしょうか。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
やました・ともこ 福島県生まれ。同志社大学大学院神学研究科博士課程(前期)修了