宗教指導者ら「米国には世界のワクチン接種を支援する道義的責任がある」と提起

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米ニューヨーク州のグッドサマリタン病院医療センターCOVID-19タスクフォース委員長、ウズマ・サイード氏らが「レリジョン・ニュース・サービス」に寄稿した。

世界で最も豊かな国である米国は、独自の資産だけでなく、独自の責任も負っている。その中には、膨大な科学技術力を共有する責任も含まれる。世界的なパンデミック(大流行)の時ほど、その必要性を強く求められる時はない。

だからこそ私たちは、上院が4月初旬に100億ドル規模の法案を可決できなかった後、コロナ禍に対処する貧しい国々への援助に、議会が資金を提供できなかったことで非常に失望している。法案の失敗につながった決断は近視眼的であり、私たち全員を危険にさらし、希望ある前途に水を差し、あらゆる道義的テストに合格できない。

ワクチンへのアクセスと情報を提供することによって、恵まれない人々に配慮することは、公衆衛生の重要な問題であるだけでなく、最も必要とされている場所で健康と癒やしを提供するという信仰の問題、さらには宗教上の義務でもある。私たちは、信仰に従って、健康の正義を貫いているのだ。

信仰とワクチンの関係は、ここ米国でも明らかになっている。コロナワクチンが広く利用できるようになって以来、信仰共同体は公平な配布を支援し、躊躇を払拭するために最善を尽くしてきた。保健サービスや地域奉仕の経験により、多くの信仰共同体は、このような方法で奉仕するのに適した立場にある。霊的指導者たちは、自分たちの信徒がウイルスやワクチンそのものに関する的確な情報を入手できるように協力している。

私たちのグループ「Faiths4Vaccines」は、米国の宗教指導者と医療専門家からなる包括的な多宗教運動で、ワクチンの動員、普及、摂取における現在のギャップを特定し解決するために活動している。

Faiths4Vaccines連合は、地域の信仰関係者、公共・民間団体、バイデン政権高官を招集し、地域社会がコロナから身を守るために直面する課題について、率直な対話を行った。Faiths4Vaccinesのビジョンは、礼拝所など信頼できる場所で予防接種を行い、信頼できる信仰の指導者に指導や支援を依頼することで、アクセスや接種への躊躇を克服することだ。

多宗派によるワクチン支援活動は、多様なコミュニティの社会的つながりを強めながら、地域のワクチン接種率を向上させることに役立っている。フロリダ州パームビーチ郡では、テンプル・ベス・エル・シナゴーグが、地元のバプテスト教会やボカ・ラトンのイスラムセンターなど、他の宗教団体と協力して、自分たちの高齢者会員にワクチン接種を推進するキャンペーンを拡大した。フロリダ州緊急事態管理局の協力のもと、この活動では500人以上の地域住民が登録し、予防接種を行った。

このキャンペーンに協力したシナゴーグの副会長は、「宗教を超えた活動が地域社会を一つにするのを見ると、本当に勇気づけられる」と語る。私たちは、より多くの信仰共同体と協力して、同じような働きを他の地域にも広げていく必要がある。世界中で110億回以上接種されているコロナワクチンのうち、低所得国の人々の14.5%しか1回の接種を受けていない。

世界的なワクチン接種率の低さは、私たち全員にとって人間的・道徳的な大惨事と言える。ワクチン未接種の人々は病気になったり死亡したりするだけでなく、新たな変異体が繁殖し、広がり、私たち全員を危険にさらすことになるのだ。私たち全員が安全になるまで、誰も安全ではない。

国際社会がパンデミックの次の段階に入るにつれ、疲労が蓄積し、欧米ではコロナの規制緩和が自己満足に陥る危険性がある。世界で最も弱い立場にある人々にワクチンを接種する緊急性を持たないことは、私たち全員を辱めるものだ。特権的なレンズを通して世界を見ることは、このパンデミックにおいて何の役にも立っていない。

この重要な時期に、私たちはスピードを落とすわけにはいかない。私たちは、ワクチンの公平性という使命を加速させ、忘れられがちな人々に手を差し伸べなければならない。

*本稿で述べられた見解は、必ずしも「レリジョン・ニュース・サービス」の見解を反映したものではない。

(翻訳協力=中山信之)

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