ロシア軍によるウクライナ侵攻を受けて、国内外のキリスト教系諸団体が現地への祈りと支援を呼びかけている。
ウクライナの首都キエフに事務所を置くオペレーション・ブレッシングは2月25日、公式サイト上で現地の情報を発信した。現地スタッフによると24日早朝、ロシアの軍事攻撃による爆撃音が各州の至るところで響き渡った。オペレーション・ブレッシングチームは市民へ1家族1週間分の食料と水600セットを配給。停電し、ライフラインが寸断された地域に向けて20個の発電機を手配した。
現在、東部最前線付近で、長期的な食料配布プログラムを実施しており、毎月60人以上の子どもと大人に数千食を提供する予定だという。
オペレーション・ブレッシング代表のパット・ロバートソン氏は声明を発表。「食糧、飲料水、医療品、燃料など、何もかも圧倒的に不足している。それでも、寄付者の皆様からの寛大な支援のおかげで、現地に必要な物資を迅速に備蓄することができた。今後数週間から数カ月にかけて、さらに多くの支援が必要になると予想される」としている。
オペレーション・ブレッシングの母体であるクリスチャン・ブロードキャスティング・ネットワーク(CBN)は、2014年以来ドネツク州を含むウクライナ東部の紛争地帯で活動しており、その後、支援事業をキエフやウクライナ全土の他の都市まで展開してきた経緯がある。以下は、CBNレポーターが、ウクライナ現地で撮影した動画。
OBJの母体Christian Broadcasting Network(CBN)のレポーターが、ウクライナ現地から発信した動画です。ロシア軍は去年春から粛々と軍備を強化し、ウクライナを分裂させるためキエフから東側半分を奪取する計画が進行しています。
#PrayForUkraine #IStandWithUkraine #Ukraina #UkraineRussiaCrisis https://t.co/8eOyLXal7m— Operation Blessing Japan (@OperationBlessJ) February 24, 2022
オペレーション・ブレッシングは、ウクライナで可能な限り長く支援していくとし、「現地に平和的解決がもたらされ、ウクライナ市民の尊い命が守られるよう共に祈りましょう」と呼びかけている。緊急支援のための寄付はこちらから。
国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパンは25日、ウクライナ情勢が子どもたちに甚大なリスクをもたらすことを警告。この危機的な状況下で、移動・避難する人々に支援の手を差し伸べるべく、現地のパートナー団体と連携しつつ対応計画の策定を進めている。
ワールド・ビジョン総裁のアンドリュー・モーリー氏は、「数えきれないほどの子どもたちが重荷を背負わされることに、心が張り裂けそう。子どもたちは安全を求めて逃げまどう中で、住まいや学校から離れなければならない」「ワールド・ビジョンは、愛する人々や住まいの喪失に直面した子どもたちの身体的・心理的健康が、暴力の代価のように損なわれことが懸念される中で、影響を受ける子どもたちを支援すべく準備を進めている」と表明。
ワールド・ビジョンの中東および東欧地域の責任者を務めるエレノア・モンビオ氏も、ルーマニア事務所が対応に向けて準備を進めているとし、「衝突の激化が子どもたちにもたらす影響を深く憂慮する。今こそ、危機の高まりの影響を最も受ける子どもたちを保護することが、最優先になされるべき」と訴えた。
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、災害や戦禍など緊急時に迅速な支援を届けるため、緊急人道支援募金を常時受け付け中。
1993年からウクライナで人道支援に取り組んできた国際NGOアドラ(ADRA)はこれまで、寒い季節を乗り切るための越冬支援や安全な飲料水の提供、住宅や学校、病院などの復旧支援、心に傷を負った方の心理的サポートなど、100万人以上の人々に寄り添ってきた実績がある。今回、ウクライナ政府から複数分野での支援要請を受け、すでに支援に必要な調査や調整に動いている。
アドラは、販売業者などと話し合い、現金と同じように食料や水を購入できるバウチャー券を準備し、支援を必要としている人々に配布する準備を進めている。また、国外に難民として逃れる人々が増加すると予想されることから、ポーランドやハンガリー、スロベニアなどのアドラ・ネットワークとも連携し、迅速に支援をスタートできるよう準備しているという。
状況がさらに悪化した場合にも支援を継続できるよう、戦火に巻き込まれる可能性の低い地域にある倉庫に、支援物資を備蓄し、必要な人々に届ける予定。今後必要になると考えられる水や食料、生活必需品の配付、避難のための移動手段や燃料の提供、避難所や仮の住居となるシェルター支援などのために、クラウドファンディングでの支援を呼びかけており、すでに2万人以上のサポーターから、3000万円の目標額を超える4000万円以上の寄付が寄せられている。
アドラは、世界約120カ国に支部を持つ世界最大規模の国際NGO。日本支部であるアドラ・ジャパンは1985年に設立され、途上国や災害被災地において、人種・宗教・政治の区別なく、自然災害や紛争の被災者、医療を必要としている人々、教育を受けられない女性や子どもたちなどに寄り添い、自立を助ける支援や緊急支援を届けている。