岸田文雄首相が1月4日、伊勢神宮を参拝し、神宮司庁で年頭の記者会見を行ったことに対し、日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会(星出卓也委員長)は13日、抗議声明を発表した。
声明では、参拝が憲法第20条3項の「政教分離原則」に明確に違反しているとし、記者会見を行ったことからも、「公的な行為と認識した上でなされていることが明らか」だと指摘。新型コロナウイルスの感染者が増える中で東京から伊勢まで大挙して訪れたことについても、「感染対策を率先して行うべき国のリーダーとしての資質を疑わざるを得ない」と述べた。
また、立憲民主党の泉健太代表が同日伊勢神宮を参拝し、神宮会館で年頭記者会見を行ったことに対しても同様に抗議し、「党名に恥じることなく、憲法を遵守し、憲法の政教分離原則に則った行動をなすべき」だと訴えた。
他にも靖国神社国営化阻止キリスト者グループ(浦瀬佑司委員長)が1月10日、カンバーランド長老キリスト教会日本中会神学・社会委員会(関伸子委員長)が1月24日、それぞれ抗議の声明を発表。
靖国神社国営化阻止キリスト者グループは、「国務大臣である総理大臣が遵守義務に反して明白な憲法違反である、宗教法人である神宮参拝は決して赦されるものでは」ないとし、「これまでの複数の内閣総理大臣が伊勢神宮を参拝したことは憲法を遵守することを求められている行政庁の長であるとしては、厳く非難されるべき行為であるというべき」と指摘。
カンバーランド長老キリスト教会日本中会神学・社会委員会も、伊勢神宮への参拝が「あたかも新年の恒例行事であるかのように」行われていることについて、同神宮が「天照大神」を祀る宗教施設として「1869年の明治天皇の参拝から1945年の敗戦まで、国家神道の中心的存在であり、政府が宗教を利用し、国民の思想を統制した国家神道体制の負の歴史」を背負っており、「靖国神社とともに、かつて日本が犯した侵略戦争と植民地支配推進の精神的支柱」であったことから、首相の参拝は「かつての侵略戦争と植民地支配を肯定し、軍国主義の復活を彷彿とさせ、再び、アジア諸国に脅威の念を抱かせるばかりでなく、アジア諸国に対する謝罪と悔い改めを表明している者らの善意をも踏みにじる行為」と非難。「今後、伊勢神宮や靖国神社その他諸神社への参拝だけでなく、一切の特定宗教への関わりをしな いよう」求めている。