Q.牧師が副業を持ち、教会にいないことが多く困っています。日曜の礼拝だけが牧師の仕事ではないと思うのですが。(60代・男性)
聖書研究会や祈祷会、家庭集会、信徒のお見舞いや訪問、属する教区の集会や委員会などなど。確かに牧師の仕事は日曜の礼拝だけではありませんよね。でもこうしていくつか挙げてみると、教会にいたのではできない牧師の仕事もたくさんあります。
それに意外かもしれませんが、使徒パウロも副業を持っていたのですよ。パウロはキリストの生き方と教えを広く述べ伝える一方で、経済的な理由からテント作りの仕事をしていました。聖書にはそのことが繰り返し出てきますから、パウロは副業にも相当の時間と労力を割かなくてはならなかったようです。
つまり、教会にいなくても、副業を持っていても、牧師として精一杯働いているということはありえるということです。それなのに、あなたが牧師の様子を不安に思っているということは、本当の問題はもっと別のところに、たとえば「牧師に対する信頼」ということにあるのかもしれません。
牧師と教会との関係を考えた時に、牧師が教会の人々に無断で副業を持つことは考えにくいです。赴任した時からその仕事もしていたのなら、それは当然赴任時に牧師と教会の双方で話し合われ確認されたはずです。また赴任後に新たに副業を持つことになったということでも同様です。実際、教会が十分に牧師とその家族の生活を支えられない場合や、教会外でのより広い宣教を考え、牧師と教会が理解し合ったうえで前向きにそうした道を選ぶこともありえます。
ただ、そうした牧師との話し合いには、多くの場合、信徒の代表として選ばれた役員や委員が当たります。もしかすると、あなたの不信感はそうした話し合いの経緯が十分教会内で共有されてこなかったことにあるのかもしれませんね。率直に牧師や役員にあなたの思いを相談してはいかがでしょう。
もし牧師が教会に無断で!副業を持っているということならば、状況は深刻です。教会内で牧師を交え、至急よく話し合ってください。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
やました・ともこ 福島県生まれ。同志社大学大学院神学研究科博士課程(前期)修了