【訃報】 デズモンド・ツツ氏(南ア聖公会ケープタウン教区元大主教)

キリスト新聞社ホームページ

©Peter Williams/WCC

 南アフリカ共和国のアパルトヘイト(人種隔離)政策撤廃運動で、ネルソン・マンデラ氏らと共に指導的な役割を担い、1984年にノーベル平和賞を受賞した南部アフリカ聖公会のデズモンド・ツツ名誉大主教が12月26日、南ア西部ケープタウンの医療施設で逝去。90歳。97年以来、前立腺がんによる闘病を続けていた。

 ツツ氏は1931年、南ア北部トランスバール地方クラークスドープの黒人居住区に生まれた。苦学の末に教師となったが、黒人差別教育立法に反対して聖職者を志し、60年に按手を受け、75年、ヨハネスブルクの英国国教会主任司祭に就任。78年から南アフリカ教会協議会(SACC)総幹事を務め、86年には黒人として初めて南ア聖公会のケープタウン大主教に就任した。95年に設立された真実和解委員会の委員長も務めた。96年、大主教としての最後の説教では「犯罪や腐敗、貪欲さが社会にあふれると、南アの民主主義は破壊される」と警鐘を鳴らしている。2013年、宗教関係の理解推進に貢献した人に贈られるテンプルトン賞にも選ばれた。

 デズモンド&リア・ツツ・レガシー財団は公式サイトで「南アフリカと世界は、私たちの時代における偉大な精神かつ道義的な巨人の一人を失ってしまった」と弔意を表し、「ツツ氏は信仰の生きた具現化を行動に表す人であり、南アフリカのアパルトヘイトにおいてだけでなく、誤った行いを目の当たりにした世界のどこにおいても、とりわけそれが社会において最も脆弱で声なき声に影響を及ぼした時、人種差別主義や不正義・腐敗、抑圧に反対して大胆に語った」と、故人の功績を振り返った。

英国国教会のジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教は26日、「遺族や彼を愛したすべての人々、南アフリカ聖公会、そして南アフリカのすべての国民に対し、祈りと哀悼の意を捧げる」とコメント。世界教会協議会(WCC)も同日、公式フェイスブックで「ツツ元大主教の生涯の奉仕と証しがもたらした影響は、国境やその歴史的な時をはるかに超えて拡がった。アパルトヘイト後の時代においても、正義のための信念に基づいた献身と関与は、揺るぎないままだった。キリスト教の信仰がすべての人々を包含するものであり、キリスト者の責任とはすべての人々の善に対するものであると、情熱を持って信じていた。彼のリーダーシップはその信念において私たちを力づけ、その信念に基づいて私たちを行動へと呼びかけ続ける」と記した。

邦訳されたツツ氏の著書に、『ゴッド・ハズ・ア・ドリーム――希望のビジョンで今を生きる』『南アフリカに自由を――荒れ野に叫ぶ声』、共著に『よろこびの書――変わりゆく世界のなかで幸せに生きるということ』『かみさまのゆめ――GOD’S DREAM』『広島国際平和会議2006公式議事録』『絶望から立ち直る方法を教えてください――ダライ・ラマ、デズモンド・ツツ、ベティ・ウィリアムズから、もらった言葉』などがある。

2013年度テンプルトン賞 デズモンド・ツツ氏 2013年4月20日

関連記事

 

オンライン献金.com