Q.牧師を「さん」付けで呼んだら怒られてしまいました。やはり「先生」と呼ばなければいけないのですか?(50代・女性)
怒られてしまいましたか……。実は私もです……。知り合いの牧師を「先生!」と呼んだら「お願いだからやめてくれ」と注意されてしまいました。これまでもずっと「先生」と呼んでいたのに、突然のことでちょっととまどいました。なんでも「先生!」と呼ぶたびに、周囲の人が「えっ、この人先生なの?」という感じでこちらをチラチラと見るので、とても恥ずかしく気まずかったのだそうです。その時、私たちは牧師として働いていたわけではなく、仲の良い友人として一緒に休日を過ごしていましたから、悪気なく習慣で呼んでいたとはいえ反省しました。
いったいあなたの場合はどういう状況だったのでしょうか? イエスさまは「あなたがたは『先生』と呼ばれてはならない」(マタイによる福音書23章8節)と言われました。もしかするとこの言葉を実践されたのでしょうか? 確かにイエスさまがとても謙遜に仕える人生を歩まれたのですから、私たちも偉ぶることなく過ごすべきですよね。
でもイエスさまは、「私を信じるこれらの小さな者の一人をつまずかせる者は、ろばの挽く石臼を首に懸けられて、海に投げ込まれてしまうほうがはるかによい」(マルコによる福音書9章42節)とも言われています。
日本では牧師だけでなく医師も弁護士も広く「先生」と呼びかけることがマナーのようなところがあります。あなたと同じように聖書に精通している人は、牧師を「さん」と呼んでも理解するでしょうが、中にはあなたの行為をとても常識外れに感じ、キリスト教や教会に抵抗を覚える人もいるでしょう。
もしかするとあなたは私の場合とは逆で、牧師が牧師として礼拝や牧会をしている時に仲の良い友人として「さん」付けで呼びかけ、周囲の人々に不安や誤解を与え、知らず知らずのうちに牧師のキリストを宣べ伝えるという一番大切な働きの邪魔をしてしまっていたのかもしれませんよ。お互い、状況から柔軟に判断することが大切のようですね。
やました・ともこ 福島県生まれ。同志社大学大学院神学研究科博士課程(前期)修了