教皇フランシスコは10月10日、バチカンの聖ペトロ(サンピエトロ)大聖堂で、「世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会」の開会ミサを行った。「シノダリティ(シノドス性)」をテーマに掲げ、「地方教会」から、地域・大陸の集いを経て、2023年10月ローマで行われる世界の司教たちとの会議へと向かう、今回シノドスの大きな歩みがスタートした。バチカン・ニュース(日本語)が報じた。
教皇はミサの中で、この日の福音朗読箇所、イエスがある金持ちの男と出会うエピソード(マルコ10:17~30)を取り上げ、説教した。福音書が語る「旅に出るイエス」、この人と歩みを共にしつつ、彼の心からわき出る問いに耳を傾けるイエスの姿を観想した。
「今日、シノドスの行程を開始するにあたり、私たちキリスト教共同体が、神のなさり方に倣い、歴史の中を歩みながら人類のさまざまな出来事を分かち合っているかを、教皇・司教・司祭・修道者・信徒たち、一人ひとりが自問しなければならない」
シノドスを行うとは、同じ道を共に歩むことを意味する、と述べた教皇は、イエスがある金持ちの男と「出会い」、彼の問いに「耳を傾け」、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいかを「識別する」手助けをしたことに注目。シノドスにおいても、この「出会う」「耳を傾ける」「識別する」という三つの態度が重要、と語った。
「今、シノドスの歩みを始めた私たちもまた『出会いの技術』を身に着けるよう呼ばれている」と述べつつ、シノドスを単なるイベントや論理的な考察の場にせず、何よりも主と出会い、人々との出会いを育む機会とするよう望んだ。
さらに「真の出会いは、相手に耳を傾けることから生まれる。イエスは金持ちの男との出会いで、彼の存在的・宗教的な問いを耳ではなく心をもって聞き、彼の人生や宗教的側面について自由に語らせた」と指摘。「私たちが心から相手に耳を傾ける時、その人は、受け入れられた。つまり裁かれているのではないと感じ、自分の人生や霊的歩みについて自由に語ることができるが、このシノドスで私たちもそれぞれの教会の希望や挑戦に誠実に耳を傾けることができるように」と願った。
「シノドスは霊的識別の歩みであり、その識別は礼拝と祈りとみ言葉に触れる中で行われるもの」「神のみ言葉は、私たちを識別に向かって開き、光で照らす。そして、シノドスが教会の研究会議や政治的会議ではなく、恵みのイベント、聖霊に導かれた癒やしのプロセスとなるよう方向づけてくれる」「イエスは、金持ちの男に言ったように、私たちにも自分を空にし、世俗的な事柄や、閉じた態度、既存の司牧モデルの繰り返しから解放され、この時代に神が私たちに何を望んでおられるかを自問するよう招いている」
最後に教皇は、「これから始まるシノドスの行程において、よき歩みを共にしていこう」とすべての人々に呼びかけた。(CJC)