中国全土の「家庭教会」をはじめ「三自教会」も家宅捜索を受け、閉鎖されている。信者は尋問され、自宅も捜索されている。イタリア・トリノを拠点とする「新興宗教研究センター」の発行するオンライン雑誌『ビター・ウインター』(寒冬)が10月5日、報じた。
浙江省東部の地級・嘉興市が管理する県級・新城市で8月28日、政府関係者と警察官100人以上が「家庭教会」の会場を取り壊した。信徒によると、この会場は設立20年の「家庭教会」に属するもので、昨年建設され、定期的に40人以上の信者が参加していた。この間、信徒は「三自教会」入会を拒否したことを理由に、当局から嫌がらせを頻繁に受けていた。
地元の宗教担当者は何度も会場を訪れ、指導者に圧力をかけてきた。会場の入り口に向けられた3台の監視カメラが信者を監視するため設置された。当局の監視を逃れるために、信者たちは豚小屋のような不便な場所に秘密裏に集まり始めた。教会の伝道師は何度も警察に呼び出され、尋問を受けている。目撃者の話では、取り壊しの日には警察官が会場を封鎖し、誰も近づけないようにしたという。
7月初旬、陝西省北西部の集会場に地元警察が入り、信者の所持品や全室を捜索した後、聖書をすべて没収した。警察は94歳の信徒の自宅も捜索したが、高齢を理由に連行はしなかった。
同月19日以降、警察と地元当局は浙江省ガンゾウ市が管理する開化県の「家庭教会」会場に集まっていた信徒ほとんど全員の家宅を捜索した。説教者は何度も〝談話〟のため召喚された。ある教会員によると、当局は特に会計を担当している信徒に疑問を抱き、財務状況に関心を持っていたという。
最近では、政府管理下にある「三自教会」でも迫害を免れない。都市部の「三自教会」に比べて、農村部の教会は政府の監視と管理が比較的厳しくなかったが、ここに来て地方自治体が様々な理由で教会閉鎖に動くなど、徐々に厳しくなってきている。7月以来、江西省の地級・新余市の農村部にある五つの「三自教会」の会場が閉鎖されたが、その理由は「出席者が少なく、礼拝に来る信者が30人に満たないから」だった。しかし、足の不自由な高齢の信者にとって教会は重要な場所だ。
9月13日朝、山東省東部の済寧市梁山県の「三自教会」で信者が礼拝に出席していたところ、警察官と政府関係者8人が会場に乱入、その場にいた人々は「新宗教条例では違法とされる集会に参加した」との宣言を聞いた。警察官は聖書4冊を没収し、集まっていた人たちに 「信仰が必要なら共産党を信じろ」と言い渡した。その日の午後、警察官が戻ってきて入り口の鍵を壊し会場に侵入、献金箱と椅子100脚を没収した。それを知った牧師は逮捕を恐れて身を隠した。
これらの動きを「キリスト教を徐々に排除するために、政府はあらゆる手段を使って宗教施設の閉鎖を図っており、信仰者の数が共産党員の数を上回ることを恐れている」からとも見られている。(CJC)