12月21日 マルコ1章1節

神の子イエス・キリストの福音の始め。
マルコ1章1節(参照箇所同書1:1)

マルコは、マタイ、ルカとちがってイエス誕生の物語を記していません。マルコ福音書が書かれた、初代教会の初期の頃はイエスの十字架と復活の出来事が中心であって、これによって、イエスというお方は、地上の宗教的人物ではなく、神の独り子であるとの信仰を確立していきました。マルコは、この信仰を端的に表明して、「神の子イエス・キリストの福音の始め」と書き始めるのです。福音はグッド・ニュースの意味ですから、起こった出来事を知らせると言っているのです。しかしながら、単なる出来事の告知ではないのです。もしそうならニュースに過ぎません。この告知がグッド・ニュースとなるのは、神の独り子が、この地上で何をなさったかの出来事の記録を通して、起こったことの中に、人間に対するメッセージが込められていることを、わたしにとって意味のあるニュースとして聞くことです。わたしにとっての意味のある、告知として聞くので、グッド・ニュース、つまり福音となるのです。

マルコにとってのクリスマスは、わたしという人間に向かって発信された、意味のあるグッド・ニュースの第一報の時であったのです。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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