エフラタのベツレヘムよ、お前はユダの中でいと小さき者。お前の中から、わたしのためにイスラエルを治める者が出る。
ミカ書5章1節(参考箇所同書5章1〜14節)
クリスマスが来る毎にこの預言を思い出す人は少なくないことでしょう。マタイは、イエスの生まれたベツレヘムを重視して「小さき者」ベツレヘムを「小さいものではない」と変更していますが、メシアの誕生を目の当たりにした者にとってベツレヘムは小さくはなかったからです(マタイ福音書2章6節)。
この預言はバビロン捕囚の時代であり、民族救済の望みはごく少数の「残りの者」に託されていました。いわゆる「残りの者」の思想です(イザヤ10章20節以下)。ミカもまた「残りの者」の思想を受け継いだ預言者の一人です(6節以下)。
この「残りの者」の思想が、このメシア預言に反映しているのです。「エフラタのベツレヘムよ、お前はユダの中でいと小さき者」とは、「残りの者」を意味すると思われます。「残りの者」は小さく、かつ弱いからです。そのエフラタのベツレヘムはダビデの出身地でもありました(サムエル上17章12節)。ダビデの子孫から出るとの約束されたメシアは(サムエル下7章13節)、小ささと弱さの象徴であるベツレヘムにおいて成就するのです。この神の御心の不思議さを、ベツレヘムの家畜小屋に見るのです。