見よ、「人の子」のような者が天の雲に乗り、「日の老いたる者」の前に来て、そのもとに進み、権威、威光、王権を受けた。
ダニエル書7章13節(参考箇所同書7章1〜29節)
7章には、四頭の獣に象徴される地上の王が登場し、その王国が神によって審かれ、やがて「人の子」が「日の老いたる者」から神の権能を与えられ、地上を支配するというダニエルの幻が描かれています(1節以下)。「人の子」とはこの場合メシアを指し、「日の老いたる者」とは神を表わします。13節にある「人の子のような者が天の雲に乗り」という表現はメシアの再臨について福音書に引用されています(マルコ13章26節)。
この黙示的な幻は、「人の子」に象徴されるメシアが到来し、神の権能が地上に及ぶことを表わし、福音書ではキリストの再臨の預言となっているのです。その意味するところは、再臨によって、この世の権力は究極の力を持つメシアの前では力を失うということです。
この世では、人間の知恵や地位、社会の制度、価値がわたしたちを支配し、あたかも決定的な力をもっているかのように見えます。しかしキリストの再臨によって、それら地上のものはやがて到来する究極の存在であるメシアの前では、絶対や永遠、また不変のものではあり得ないことを知らされるのです。それを知って人は、人間の知恵や地位、社会の制度、価値を謙遜に使うことになるのです。