あなたが正しいので、あなたの神、主がこの良い土地を与え、それを得させてくださったのではないことをわきまえなさい。あなたはかたくな民である。
申命記9章6節(参考箇所同書9章1〜29節)
人は良い結果を手にすると、努力の賜物である、善行を積んだ報いであるなどと言います。あるいは、とくに善いことをしたわけではなかったが、べつに悪いこともしなかったからこうやって平穏無事の日がやってきたのだと思うかもしれません。手にした結果が、それなりに満足であれば、それにふさわしい前提となるものがあったからだと人は思うものです。
しかしながらこの聖書の言葉は驚くばかりの恵みの結果を伝えているのです。イスラエルの民が約束の地カナンを手にしたのは、彼らがことさら努力をしたとか、ことに善行に励んだというのではないと言っているのです。それどころか、「あなたがたはかたくな民である」と言われ、「主を怒らせた」のであり、「エジプトの国を出た日からここに来るまで主に背き続けた」(7節)とあります。彼らは約束の地、乳と蜜の流れる地を与えられるにふさわしくないばかりか、その行状を見れば、報われるはずもない民でありました。
神の恵みとは、感謝して受け取るよりも驚いて受け取るものであることを教えられます。わたしたちが自分自身の姿を見れば、そのことが最もよく分かるのではないでしょうか。