5月5日 出エジプト記13章21節

 主は彼らに先立って進み、昼は雲の柱をもって導き、夜は火の柱をもって彼らを照らされたので、彼らは昼も夜も行進することができた。
出エジプト記13章21節(参考箇所同書13章17〜22節)

成熟した人は、いかなる状況にあっても前に向かって進むといわれます。前に向かって進むには、希望と勇気がなくてはなりません。希望と勇気は常に向かう側から来るものです。

イスラエルの民がエジプトを出て先祖たちが住んだ故郷に帰る旅といえども足を踏み入れた地は荒れ野でした。故郷に帰るには、ペリシテ街道と呼ばれる北方の近道があったのですが、神は民たちがエジプトの軍隊の追跡を受けて、元の地へ戻るかもしれないと思われて、遠く南を迂回する道筋を示されたのでした。彼らが足を踏み入れた地は荒れ野であり、困難な旅が待ち受けていました。

けれども彼らの足がどれほどたじろごうが、奴隷から解放されて自由を獲得するためには、この道を歩む以外にないのです。彼らの旅を前へと進ませたのは、旅を導く雲の柱、火の柱でした。それは常に彼らの前にあって希望と勇気を与えるしるしでありました。困難の中にあって、行く手に雲の柱、火の柱のしるしを見ることができる人は、希望と勇気を失いません。前に向かって進むことができるしるしはあっても、後ろに退くしるしはどこにもないのです。困難の中にあっては、前にのみ道は開けています。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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