ごらん、冬は去り、雨の季節は終った。
花は地に咲きいで、小鳥の歌うときが来た。この里にも山鳩の声が聞こえる。
いちじくの実は熟し、ぶどうの花は香る。恋人よ、美しいひとよ
さあ、立って出ておいで。
岩の裂け目、崖の穴にひそむわたしの鳩よ
姿を見せ、声を聞かせておくれ。お前の声は快く、お前の姿は愛らしい。」
狐たちをつかまえてください
ぶどう畑を荒らす小狐を。わたしたちのぶどう畑は花盛りですから。
恋しいあの人はわたしのもの
わたしはあの人のもの
ゆりの中で群れを飼っている人のもの。
夕べの風が騒ぎ、影が闇にまぎれる前に
恋しい人よ、どうか
かもしかのように、若い雄鹿のように
深い山へ帰って来てください。