傷つくことはだめなことではない
〈評者〉坂野慧吉
私にとっては、「HSP」(生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質もった人」)は初めて出会ったことばでした。自分自身は「傷ついた経験」もあり、「自分の傷ついた心」を感じたこともあります。でも、おそらく著者が書いている「傷つきやすい人」ではないと思っています。
著者が、「自分の心」「自分の経験」を極めて「率直に」また「あからさまに」書いていることによって、私自身の心に訴えて来るものがあることを感じます。それは著者の自己憐憫から来るものではなく、自分の内面を吐露することに意味を感じたりしているのでもなく、ただ「素直に」自分が感じたことを真実に書いているのだと思います。
最初の一から五までは、HSPとは何なのか、どういう人なのかをこの概念を最初に紹介した、エレイン・N・アーロン教授のことばを引用して説明しています。そしてHSPの長所と短所を指摘しています。
つぎに、著者は自分がHSPであることを最近受け入れるようになったと述べています。それまでは、商社マンとして頑張って来たという自負心が自分の傷つきやすさを認めることを邪魔していた、と率直に記しています。