古代ヘブライ語、アラム語の世界的権威による画期的な翻訳
〈評者〉山我哲雄
精選 死海文書
村岡崇光編訳
四六判・122頁・定価3080円・教文館
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約七五年前に死海のほとりのクムランの洞窟で偶然発見された死海文書は、それまで知られていなかった紀元前後のユダヤ教の多様なあり方に光を当て、またキリスト教の成立の謎を解くうえでも鍵になるものとして、世界中の注目を集めた。それだけではない。それが世の終わりの切迫を前提とした強烈な終末論を含むものであったために、ジャーナリズム等に興味本位で取り上げられ、しかも最初の段階で復元、解読の作業に当たったスタッフにカトリックの司祭が多かったこともあり、カトリックにとって不都合な事柄が多数書かれているのでバチカンの命により肝心の部分が隠匿されている、などという陰謀論まがいの言説も流布したりした。