後世のための設計図【聖書からよもやま話427】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は旧約聖書、 歴代誌第一の28章です。よろしくどうぞ。

歴代誌第一 28章11節

ダビデはその子ソロモンに、玄関広間、神殿、宝物室、屋上の間、内部屋、贖いの間などの設計図を授けた。(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

ダビデ王は神様のための神殿を建てる準備をしていましたが、神様から「いやいやダビデ、神殿は君じゃなくて君の息子のソロモンに建ててもらうことにするから君はやらなくていい」と言われてしまいました。そこでダビデは息子ソロモンに自分が計画していた神殿の設計図を渡して「頼んだぞ、ソロモン」と言いました。

内村鑑三の『後世への最大遺物』という本で、人間が後世に残せる4つのものが示されていますが、それはざっと言えば「事業」と「財産」と「文学」と「生き方」です。大きな事業をなせる人はそれをすればいいし、事業が自分でできない人はその事業に必要な財産を提供すればいいし、それもできない人は「文学」つまり思想を残して後世の事業による実現を期待すればいいし、それもできない人は自分の「生き方」を残すことができ、そしてそれが前述の3つよりも大切なものなのである、と、こういうことです。

ダビデがソロモンに渡した設計図はこの「文学」にあたります。今、自分ができないことでも、その「設計図」を後世に残しておけばいずれ後世の誰かがそれを実現してくれるかもしれないわけです。この考え方はとても大切です。「国家百年の計」を考えるには不可欠な考え方です。

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UnsplashKelly Sikkemaが撮影した写真

現在の環境やテクノロジーでは不可能なことも、後世の環境やテクノロジーなら実現可能になるかもしれません。ですから現時点で実現不可能な構想や思想であっても、決してそれは無駄なものではなく、それを後世に残しておくことが大切なんです。むしろそういう「設計図」の蓄積がなくては、後世は廃れていくことでしょう。

今の時代は、「今」できることばかりを追い求めます。「今」の利益ばかりを追い求めます。ビジネスの世界でもそうですし、残念ながら政治の世界もそう見えます。「今実現できないものなんて必要ない」と切り捨てているように見えます。しかしそうであってはならないんです。

クリスチャンの伝道だって同じこと。今急に日本のクリスチャン人口を爆発的に増やすことはできないかもしれません。たぶん僕が生きているうちに日本のクリスチャン人口がたとえば30%になることはないでしょう。でもいつか、僕が死んでしまった後の世界であっても、それが実現するためのアイディアを、たとえその小さな一欠片であっても、考え出すことができて、それを残すことができるなら、これほど嬉しいことはないと思います。とはいえまだ実際はその一欠片の一欠片さえ、思いついていないんですけれどね。

自分が生きている間のことだけではなく、後世のための「設計図」をもっと意識して生きたいと思います。

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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