「答え」よりも「共感」が解決する問題もある【聖書からよもやま話387】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は旧約聖書、創世記の30章です。よろしくどうぞ。

 

創世記 30章2節

ヤコブはラケルに怒りを燃やして言った。「私が神に代われるというのか。胎の実をおまえに宿らせないのは神なのだ。」
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

ヤコブの妻ラケルには子どもができませんでした。それでラケルはヤコブに「私も子どもが欲しい!子どもをください!」と言いましたが、それを聞いたヤコブは怒りました。「それは僕に言われても困るよ!子どもができるかどうかは神様が決めることなんだから僕にはどうにもできないよ!」と。

うーん・・・別に怒らなくてもいいじゃないですかヤコブさん。と思います。しかもただ怒ったのではなく「怒りを燃やす」って、相当な剣幕だったように見えます。妻が夫に「子どもが欲しい」と言うことは何も理不尽な要求ではないですし、確かにそれは夫としても自分でコントロールできることではないですけど、「そうだね。できるといいね、できるように神様に祈ろう」と、妻の望みに共感してあげればそれでラケルの気持ちもずいぶん癒されただろうに、と思います。まさに「女は共感を求め、男は解決を求める」という男女の気持ちのすれ違いが起こってしまったケースではないでしょうか。

それで心が満たされなかったラケルは、自分の女奴隷をヤコブに差し出し、その女奴隷が産んだ子を自分の子として育てることにしました。何もそこまでしなくても・・・と思ってしまいますが、それほどまでにラケルの心は追い込まれてしまったのでしょう。これを機にラケルと、姉のレアとの間で壮絶な子づくり合戦が始まってしまいます。結果としてヤコブには12人の息子が生まれ、ヤコブの家は栄え、イスラエル12部族の祖となるんですから、結果オーライと言えばそうなんですけれど、しかしラケルもレアも相当しんどい心理状態だっただろうな・・・と思わされます。もうちょっとヤコブが妻の気持ちに寄り添うことができていたら、ラケルもレアもこんなに苦しまずに済んだのではないかと思います。

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UnsplashAfif Ramdhasumaが撮影した写真

とはいえ一方で、ヤコブが怒りの中で言ったことは本当です。動かし難い真理です。いわゆる「正論」です。子どもに限らず、人間が欲しがる多くのものを与えられるか否かは本人の努力や創意工夫よりも神様の心にかかっています。いくら夫婦が揃って「子どもが欲しい!」と願い、そのために様々な工夫をしてもできない時はできません。地位や名声や富だって、よくよく考えてみれば似たようなことです。いくら望んでそのために方策をあれこれと講じても、得られない時には得られません。反対に、思いもよらぬところでそれを得てしまうこともあるものです。

ですからヤコブの言うことは神を信じ、神に従う者としてはまごうことなき正論なのです。たしかに正論は正しい。しかし正論を述べることは必ずしも正しいとは限りません。特に傷ついている人、悩んでいる人、落ち込んでいる人の声に対して正論で答えるのは、よくない結果を招くことが多々あります。ラケルは子どもができないという悩みに対してたぶんただ共感して欲しかっただけです。「そうだね」って言って欲しかっただけです。白黒はっきりした「答え」が欲しかったわけではありません。

共感一つで防げる苦しみや争いもあるんだなーと、ヤコブ家のいざこざを見て思わされました。とはいえ、共感って意外と難しいものですよね。僕もなかなか人に対して適切な共感はできません。だからこそ人間関係は難しい。でもだからこそ人間関係は深く豊かでもあるんです。

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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