回転寿司の「ペロリスト」をどうしたらゆるせるか【聖書からよもやま話332】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、箴言の14章です。よろしくどうぞ。

箴言 14章9節

愚か者は罪の償いを嘲る。
心の直ぐな人たちの間には恩寵がある。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

テレビや新聞では毎日のように誰かが謝罪をしたり、過ちの償いをしたりしています。しかし近頃、それにたいして嘲るような声が増えているような気がします。「その程度の謝罪じゃゆるされるわけないじゃん」とか「そんなことしたって何の償いにもならないよ」とか。

先日、回転寿司チェーンでの高校生のイタズラ行為が世間を揺るがしましたけれど、それに対する世間の声には「一生かけても払いきれないほどの賠償金を!」など、とことんまで「罪人」を追い込まなければ気が済まないようなものが非常に多いように思えました。もちろん、回転寿司にツバをつけたりとか、みんなが使う食器を舐めたりとか、そんな行為は許されるものではありませんけれど、しかしそれが「一生を棒に振ってまで償うべき罪」であるとまでは僕は思いません。せいぜい本人が数年間はしっかり後悔するくらいの賠償までとするのが適当なのかと思います。そのあたりは今後、裁判所が判断する事なのでここで僕が意見を言ってもあまり意味のあることではありませんが、おそらく裁判所が、その高校生が一生を棒に振ってしまうような何億円もの賠償金を課すことは現実的ではないと思います。

日本人は他の国に比べて特に「食べ物に関する罪」には敏感だと言われていますから、この事件について「ゆるせない!」という思いを抱く方が彼の行った実際の行為に比して多いのは自然なことかとも思います。僕自身もなんだか腹の底から湧き上がるような不快感を覚えました。しかし冷静に考えてみれば彼は寿司に毒を盛ったわけでも剃刀の刃を仕込んだわけでもありません。不幸にしてそのツバのついた寿司を食べてしまった方はとても気の毒ではありますし、できれば僕もそんな寿司は食べたくはありません。しかしそれで何か具体的に健康上の影響が出ることはまず考えられないかと思います。

他の様々な事件や出来事に関しても、近頃はあまりに「厳罰を求める声」が大きすぎないでしょうか。それは即ち、ここに記してある「罪の償いを嘲る」ことかと思います。「そんなもんじゃ足りない、さぁもっと謝れ、もっと償え」と、そんな声のように聞こえます。
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「ゆるせない気持ち」というのは、人間の心の中でもすこぶる厄介なものです。どれほど謝られても、ゆるせないものはなかなかゆるせません。しかしどこかでそんな気持ちに折り合いをつけなければ、相手は永遠に謝り続け、償い続けなければなりません。そして恐ろしいことに、たとえ永遠に謝り続け、償い続けたとしても、人間のこの「ゆるせない気持ち」というのは、消えることはないでしょう。そのくらい、この心は厄介なものです。しかし、自分の中にそれほど厄介なものがあるということを、知っていたり意識したりすれば、どこかで「落とし所」は作れるように思います。

僕の中にもいくらかこの「ゆるせない気持ち」があります。その相手に対して「とことんまで謝罪しても償ってもゆるさないぞ」という気持ちがあります。「そいつをとことんまで追い込んで消し去ってやりたい」くらいの気持ちさえあります。しかも根深く、何十年も抱き続けていたりもします。その相手に対しては僕もまた明らかに「罪の償いを嘲る」者の一人であると思います。

しかしそんな気持ちを何十年も抱えてみて、わかったことは「これをゆるすことは、何をされたとしても、何をもらったとしても、何が起こったとしても、僕には不可能だろう」ということです。ですから僕は、この気持ちを自分で抱えずに神様に預かってもらうことにしました。そうすることで、その気持ちがもたらす悪い影響を避けることができますし、それでギリギリとはいえそんな気持ちと自分との間での折り合いをつけられるようになりました。決してゆるせたわけではありません。ただ預けただけです。

いくら謝られても、いくら償われても、消えない気持ちが自分にはある。それが消えないのは謝罪や償いが足りないのではなく、自分の心の性質ゆえのことなのである。このことを知れば、必要以上に謝罪や償いを嘲ることもなくなるのかと思います。

 

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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