苦しみを「なかったことにする」独裁者と、受け止める神様【聖書からよもやま話171】

主の御名をあがめます。

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。
今日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

毎回、新旧約聖書全1189章からランダムに選ばれた章を読んで、僕の心に浮かんだ事柄を、ざっくばらんに話してみようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、  ヨブ記の24章です。それではよろしくどうぞ。

◆ヨブ記 24章12節

人の住む町からうめき声が起こり、
傷ついた者のたましいが助けを求めて叫ぶ。
しかし、神はその叫び声に心を留められない。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

この箇所でヨブは神様に対して文句を言っています。「あなたに従う者は栄え、あなたに従わない者は滅ぼされるのではなかったのですか。この世には悪人ばかりが栄えているし、苦しむ人、弱い人の叫びをあなたは聞いてくださらない」と。

聖書のすごいところは、こんな風に「都合の悪いこと」まで赤裸々に書いてあるところです。どこの誰とは言いませんが、どこかの独裁国家の独裁者は自分に都合の悪い情報はテレビや新聞からもインターネットからも消し去ろうとしますし、実際に少なくともある程度は消し去っています。しかし神様は「都合の悪いこと」まで聖書にあえて記しています。

「苦しいのにいくら祈っても神様が聞いてくれない」と嘆く人に「神様には神様の大きな計画があるのだから・・・」と理屈をつけるのは簡単ですし、本当に神様には神様の大きな計画があります。しかし、その大きな計画があるからと言って、今この場で苦しむ人のその苦しみは厳然とそこにあるのですから、それを無視してはいけません。苦しみに理屈をつけるより、苦しみを直視し寄り添うことの方がよほど大変ですが、そこにこそ価値があります。寄り添うことのない理屈に愛はありません。
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神様はご自分のことばである聖書に、このヨブの怒りと嘆きを記しています。それは神様がヨブのその怒りと嘆きを正面から受け止めて、寄り添ってくださっている証拠です。「君のその怒り、嘆きは分かっているよ」と神様は言ってくださっているんです。もしヨブの気持ちを受け止めないのなら、本気で無視するのなら、ご自分のことばである聖書にこんな「都合の悪いこと」なんて記さなければいいんですし、神様ならそれもできるんです。しかし、あえてそれをしないのはその怒りと嘆きを受け止めているという意思表示なんです。

一方で今、世界を悩ませている独裁者たちはどうでしょう。民がどんなに苦しみ嘆き怒っても寄り添うどころかその怒りを弾圧し、嘆きを封殺し、苦しみをなかったことにします。それは神様のヨブの怒りに対する態度と正反対です。独裁者たちは自分に対する反論や怒りを認めませんが、神様はご自分に対する反論や怒りも真正面から受け止めます。

じゃぁどうしてこの苦しみを今すぐに取り除いてくれないのか。そう問いたくなります。僕も時にそう問います。その問いの答えはなかなか人間にはわからないものです。「神の沈黙」これはキリスト教の長い歴史の中で問い続けられてきた最も重く深いテーマの一つです。旧約聖書の時代から3000年以上にもわたって、人々はこの最も重く深いテーマに対峙し続けてきましたが、今でもその答えはわかりません。その糸口さえつかめていません。しかし一つだけ確かなことは、たとえ神様が沈黙しているように見える、あるいは本当に沈黙しているにしても、必ず神様はその苦しみに、嘆きに、寄り添い続けてくださっているということです。

子どもが風邪で苦しんで両親に「治して」と懇願する時、どんなにその子を愛している親でも風邪を治すことはできません。しかしその両親はきっとずっとその子の隣にいて、看病してくれることでしょう。僕も子どもの頃にひどい風邪をひいて両親に「どうして風邪ひいたんだろう?」とか「どうしてこんなに苦しいんだろう?」と尋ねました。その時に「雨の中で遊んでいたから」とか「インフルエンザだから」なんて理由を知ったところで、その苦しみは少しも軽くなりませんでした。苦しむ人に必要なのは理屈や理由なんかではなく、寄り添う愛です。

神様どうして?と問いたくなることばかりの今の世界。その問いに答えは与えられなくとも、神様は必ずあなたを愛していますし寄り添ってくださっています。だからこそ、今日も神様に遠慮なく祈ろうと思います。その祈りは決して「なかったこと」にはされませんから。

それではまた明日。

主にありて。
MAROでした。

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