【インタビュー】ティモティ・センタムさん アジア学院で学んだのは、それぞれの違いを認め合い、協力し合い、つながること

アジア農村指導者養成専門学校「アジア学院」(山本俊正理事長、栃木県那須塩原市)の50回目となる卒業式が、12月11日、同学院において開催された。新型コロナウイルスの影響で、学生たちの渡航の見通しが立たないまま始まった2022年度だったが、14カ国から留学生が来日。9カ月間にわたる農村指導者研修プログラムを修了した31人の学生と1人の研究科生が、卒業証書を受け取り、それぞれが遣わされる場へと旅立った。そんな卒業生の一人であるティモティ・センタムさんに話を聞いた。

ティモティさんは、東アフリカのウガンダ共和国出身の28歳。同国にあるカセンジェ・リバーフォード有機農業センターより派遣されてアジア学院に入学した。在学中は、有機農業、サーバントリーダーシップ、コミュニティ開発を学んできた。現在婚約中で、来年2月には結婚を控えている。

ティモティ・センタムさん

ーーウガンダではどのような活動をされていますか。

カセンジェ・リバーフォード有機農業センターで、トレーナーとして、地元の若者を農業に引き入れることと、若者に向けた有機農業の訓練に力を入れています。あと、会計などのデスクワークにも従事しています。また、もう一つの活動として、「ガール ナウ(girl now)」という団体を2020年に立ち上げ、思春期の少女たちに月経衛生教育や技能向上のための訓練を行っています。

ーーそれはどのような活動ですか。

妊娠している子を集めての医療的な教育をしたり、搾取される場に身を置く若い女の子たちが、もっと別の集まりに参加できるようにエンパワーメント・プログラムを企画したりしています。今力を入れているのは、生理になったときに自分たちで使えるように生理ナプキンを作ることで、この活動が収入につながっていくことを目指しています。

ーーなぜ、少女たちを助ける活動を始めたのでしょうか。

ウガンダでは、今日働けなかったら食べることができないような貧困ライン以下の生活をしている人が多くいます。そんな状況をさらに悪化させたのが新型コロナウイルス感染拡大で、ロックダウンとなる中、人々が外に働きに出ることができず、貧しい家庭では飢えて死んでいくということが起きています。そういう中で、富裕層の間では、金銭や食べ物と引き換えに貧しい家庭の少女を妻にするという人身売買的な結婚が広がっています。13歳で強引に結婚させられ、妊娠することは珍しくありません。中には、結婚前に妊娠させられるケースもあり、私とフィアンセはそんな少女たちのために何かしたいと思い、アメリカの友人にも手伝ってもらい「ガール ナウ」を立ち上げました。

ーー活動資金はどのように捻出しているのですか。

自分たちの貯えで、個人的に活動を続けてきたのですが、それだけでは足りず、募金活動をする必要がありました。そこでアメリカの友人に相談し、一緒に活動してくれる協力者を募り、この団体を発足させました。少女たちを搾取する富裕層には政治家もいて、私たちの活動には危険が伴うこともあります。そのため、警察や弁護士などにも協力してもらい活動を続けています。ただ、たとえ法に触れていても、警察でも訴えることができない相手だったりもします。

インタビューの通訳をしてくれたアジア学院事務局長の佐久間郁さんと。

ーーアジア学院にはどのようなきっかけで入学したのですか。

2018年の卒業生が父の知り合いで、また派遣団体(カセンジェ・リバーフォード有機農業センター)の代表の知り合いでもありました。その人のこれまでの活動を見て、またアジア学院に研修生を送りたいということになり、私が派遣されました。ちょうどその頃、ウガンダでの有機農業に持続可能でない側面というのを感じていて、アジア学院に行けば、何か分かるかもしれないという期待を持って入学しました。

ーー実際にはどうでしたか。

ウガンダにいたときは、有機農業をするために高価な有機肥料が必要だと思っていました。農家の人たちも高いお金を出して有機肥料を買っていました。それがアジア学院に来て、高価な肥料をわざわざ買い求めなくても、無償の資源を使って有機農業ができることに気づきました。その中で学んだのは、土の健康をどう保ているかで、それがウガンダの有機農業に必要なことだと思いました。土をどうやって改善するかということも学ぶことができました。そこには、持続可能な有機農業の姿がありました。さらに、経営に関する専門の統計システムについても学べたので、ウガンダの多くの農家を苦しめる経営問題について生かしていきたいと考えています。

ーー毎年10月に行われるアジア学院最大のイベント「収穫感謝の日」では、リーダーとして活躍されましたが、今、どのようなことを感じていますか。

ここはチャレンジができる場所だなと感じています。「収穫感謝の日」ではリーダーたちを導くという経験をしました。これは大きなチャレンジの一つでした。それも多国籍のリーダーたちをです。

グアテマラから来た留学生、エステルさんとマルタさん。アジア学院に来て初めてグアテマラのことを知り、一番の親友になったという。

ーー多国籍であるということは、アジア学院の大きな特徴ですね。

多国籍というのは、たんに人種が違うということではなくて、考え方、価値観、文化も宗教も違う。アジア学院では、そういうさまざまな違いがあることを受け入れながら、協力して、改善できるというところに大きな魅力を感じています。ウガンダにいただけでは生まれなかったコネクションも、この学院の中で新たに見出すことができました。今後、「ガール ナウ」の活動や、農業センターで仕事をしていく上で、多国籍ということが重要な鍵になると思っていて、多国籍ネットワークを今後も充実させたいと考えています。

ーー今後の目標などを教えてください。

「学び」という機会は、これからやっていくことに責任が伴うことです。アジア学院で実践していることを全て持って帰ることはできませんが、「あなたが必要としているものは、あなたのまわりにある」という学院の基本方針は持って帰ることができます。帰国後は、学んだ有機農業のやり方でフルーツを作ってみたいと考えています。自ら実践することで、持続可能な有機農業の方法を伝えていきたい。幸いにも協力を申し出てくれる団体もあって、講演の機会を作ってくれる約束もしています。それと、ウガンダで貧困層以下の生活をしている人たちが、自分たちの力で収入を得られる手段として有機肥料を作り、それを販売することも計画しています。ウガンダの社会問題の解決に力を注いでいきたいです。

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