第20回キリスト教学校フェア 「平和」「復興支援」を語り合う生徒の姿にキリスト教教育の特色が

 

東京都内のプロテスタント系キリスト教学校(中学・高校)の合同説明会「第20回キリスト教学校フェア」が7月27日、日本基督教団・銀座教会、東京福音会センター(東京都中央区)で開催された。

今回の参加校は、桜美林学園、恵泉女学園、啓明学園、香蘭女学校、頌栄女子学院、自由学園、女子学院、女子聖学院、聖学院、玉川聖学院、東洋英和女学院、普連土学園、明治学院高等学校、明治学院東村山、立教池袋の15校。

キリスト教学校フェア、会場の様子

進学を希望する児童・生徒や保護者らが来場し、開場前から行列ができるなど、賑わいを見せた。来場者にはハンドブック(2018年版参照)が配付され、そこには、それぞれの学校の特色や年間行事、制服などがイラスト入りで紹介され、また会場内には各学校の個別相談ブースが設けられた。

大礼拝堂では、ハンドベルや弦楽、聖歌隊などの音楽が披露されたほか、20周年特別企画として、参加校の有志と、特別に招かれた東北学院(宮城県)とルーテル学院(熊本県)、広島女学院(広島県)の代表生徒による「平和」と「復興支援」をテーマにしたパネル・ディスカッションが行われた。

パネル・ディスカッションには13校が参加

まず、「平和を作るために何ができるか」という問いに対し、生徒たちはそれぞれ意見を述べていく。「戦争の歴史や、現在も戦争が起きている国の現状を知る必要があります。その上で支援活動など、行動に移すことが大事」。「実際に長崎や広島など、戦争の被害に遭った場所に行き、自分の足で歩いてみると、広範囲に被害が広がったことがよく分かります」。また、広島女学院による被爆者のメッセージを伝える活動や、啓明学園によるカンボジア裁縫プロジェクト「Stitches for Riches」など、各校の平和への取り組みやボランティア活動なども発表された。

次の「あなたにとっての復興支援とは」という問いには、2016年の熊本地震で被災したルーテル学院の生徒が語った。

「私は熊本で震度6強の地震を体験しました。地震の際は、きれいな水や食料はもちろん、心の安心がなくてはならないものです。余震が続き、不安な生活を送る中で、外部のボランティアの方の助けや、姉妹校からいただいたビデオ・メールが本当に嬉しかったです。震災に遭ったとき、町などの目に見える部分は、少なからず国や自治体が動くので、復興していきます。でも、目には見えない心の復興は、人と人が直接触れ合わないと、前に進まないと思います。話を聞いてくれる誰かがいることは、すごく嬉しいことなんです。もしも周りに被災して苦しんでいる方がいたら、その苦しみを話せるような関係を作っていってほしい」

宮城県釜石市の復興ボランティアに参加しているという聖学院の生徒もこう語る。「復興支援とは、一方的に何かをするだけではなく、僕たちが現地の人と一緒に活動することが大事だと思っています」

それぞれの生徒が平和や復興に対する思いや学校での取り組みについて話した。

3つめのテーマ「問題意識を風化させないためには、どのように伝えていくか」では、東北学院の生徒が会場に向かって次のように呼びかけた。

「近年の日本では、30年以内に大きな地震が起こる確率が高まっていると言われています。それなのに問題意識が風化していくのは、多くの人が震災を他人事として見ているからだと思うんです。今回、僕は、『震災は決して他人事ではない』と意識してもらうために、ここに来ました。自分の身にも迫っているということを理解してほしい」

広島女学院の生徒も、被爆地からの声を届けた。「ピークだった頃と比べると核兵器の数は減っていますが、核兵器の威力は技術とともに進歩していて、74年前、広島や長崎の町を一瞬で焼け野原にしたものより強い兵器が、現在、たくさん作られています。問題意識や被爆者の思いを後世に伝えていくために、被爆者の証言を聞いたり、当時の状況の正確な資料を集めて残したりすることが大切だと思います」

約1時間に及ぶパネル・ディスカッションを通して多く語られていたのは、互いの心に寄り添うことや、関わりや関心を持ち続けること、そして共に生きることの大切さ。わずかな時間だったが、来場者との質疑応答も行われた。

玉川聖学院の学院長・安藤理恵子さん

司会を務めた玉川聖学院の学院長・安藤理恵子(あんどう・りえこ)さんは言う。

「生徒たちはもちろん、初めての取り組みということもあって、私たち教員もどうなることかと緊張していましたが、想像以上にすばらしい時間になりました。今回、参加してくれた生徒たちは、今日初めてこの場所で出会ったばかり。朝の礼拝を一緒に持ち、短い時間の中で意見交換をしたり、発表したいことをまとめたりして、協力し合ってこの場を作り上げました。真剣に人と向き合い、自分の意見をしっかりと持ちながらも、お互いを受け入れ、一緒に学んでいく。こうした生徒たちの姿や、すばらしい心が育っている背景には、キリスト教学校の教育が少なからず影響していると思います」

今年もいよいよ受験シーズンが始まる。少子化が問題視される現代でも、それぞれに個性豊かで魅力があるキリスト教学校は人気が高い。心を育てる場所としても、ぜひ注目してみてはいかがだろうか。

 






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