アニメ「手塚治虫の旧約聖書物語 In The Beginning 」の DVD-BOX が２５日、教文館より発売された。
手塚アニメの認知度が高いイタリアの国営放送（ＲＡＩ）と日本テレビ（ＮＴＶ）との共同で制作された手塚治虫最後のアニメーション。天地創造からイエス誕生までの全２６話が収められている。
手塚治虫公式サイトによると、１９８４年、バチカンからＲＡＩを通して手塚に「ぜひ聖書をアニメにしてほしい」と依頼が来たという。「クリスチャンではない手塚が描く聖書の世界を観たい」というリクエストだった。手塚はその依頼に応え、自身がシナリオや原画まで描くという情熱で作品作りに臨み、２年もの歳月を費やして「ノアの箱舟」のパイロット・フィルムを完成させた。しかし、８９年に手塚は死去し、その後は虫プロ出身の出﨑統（でざき・おさむ）監督が引き継いで、８年の歳月をかけ、９２年にようやく完成した。
日本では９７年にWOWOWで初放送されたが、それに先駆け、イタリアや米国をはじめ世界各国で放映され、大好評を博している。
この作品は９７年に東芝デジタル・フロンティアからＤＶＤ全９巻、翌年にはバップからＶＨＳ全６巻が発売されたが、どちらもすでに廃盤となって久しく、ファンからは再ＤＶＤ化への要望が高まっていた。このたび、手塚治虫生誕９０周年を記念し、ＤＶＤ全９枚と「公式スペシャル・ガイドブック」をワンセットにし、特別描きおろしイラストによる美麗ＢＯＸに収めたかたちで復活販売となった。
ＤＶＤ全９枚には２６話（旧約２４話＋新約２話）が収録され、日本語と英語の２カ国語で楽しめる。モーセやダビデなど、教会学校でもおなじみの旧約人物が躍動し、服部克久による音楽がドラマを盛り上げる。また、イタリアやバチカン関係者の時代考証チェックも受けているため、背景から登場人物の衣装に至るまで、ていねいに描かれ、大人も見ごたえ十分。
公式スペシャル・ガイドブックでは、各話のあらすじや解説だけでなく、登場人物紹介、地図、主要人物系図など、聖書の基礎知識が得られるページもある。さらに、手塚治虫による製作秘話エッセイ「おんぼろバイブル」や、松谷孝征（手塚プロダクション代表取締役）、岡田晋吉（日本テレビ元プロデューサー）、里中満智子（マンガ家）、瀬谷新二（手塚プロダクション・アニメーター）各氏の特別インタビューも掲載。アニメ制作秘話や手塚のエピソードなど、読みごたえたっぷりだ。旧約聖書学者の北博・東北学院大学教授による解説コラム「旧約（リアル）聖書×手塚聖書」も収められている。
手塚ファンはもちろん、聖書の世界に興味がある人、また小さな子どもも楽しめる不朽のエンターテインメント作品だ。
『手塚治虫の旧約聖書物語 In The Beginning』
ＤＶＤ９枚組＋Ａ５変型判・並製・オールカラー６４頁・函入
価格：本体２８５００円＋税
発行元：教文館
なお、プロモーション動画・内容見本については教文館ホームページで。
