凛とした、透明感のある、温かい声で 合唱の強豪・清泉女学院中学・高校音楽部

 

カトリックの私立女子中高一貫校である清泉女学院中学・高校(神奈川県鎌倉市、高倉芳子校長)。その音楽部は国内外のコンクールで数々の受賞歴があり、全国強豪として知られる。5月には高校音楽部が、ラトビアで開催された国際合唱コンクール「RIGA SINGS」に出場し、ユース部門・宗教曲部門・民族音楽部門の全部門で優勝。さらに、各部門優勝団体のみが参加できるグランド・コンペティションでも総合グランプリを獲得した。

清泉女学院中学・高校(写真:同校提供)

この大会を最後に高校3年生は部活から引退し、現在は先輩からバトンを受け継いだ生徒たちが、「全日本合唱コンクール」(NHK全国学校音楽コンクールと並んで二大コンクールと呼ばれる)の関東大会(21、22日開催)、そして全国大会(10月26、27日開催)に向けて練習を重ねている。

清泉女学院は1947年、聖心侍女修道会のエルネスティナ・ラマリョによって創立された。「神のみ前に清く正しく愛ふかく」をモットーとし、どんな困難に遭っても神の望みを探し、人々のために惜しみなく尽くす人を育てることを目指している。現在、世界25カ国に50校以上の姉妹校が同じ教育理念を共有しているという。

左から佐藤美紀子、北宮枝理子両先生

音楽部OGで、顧問を務める佐藤美紀子、北宮枝理子両先生に話を聞いた。

──清泉女学院では昔から音楽部の活動が盛んなのでしょうか。

北宮 祈りとともに音楽があるカトリックにとって、音楽は欠かせませんよね。50年以上前から、毎年5月には高等部、12月には中等部で校内の合唱祭が行われています。かつて学院内にシスターがたくさんおり、「学院を歌でいっぱいにしたい」という思いから始まった行事だといわれています。合唱コンクールの強豪校と呼ばれるようになったのは、佐藤先生が顧問に就任してからですね。

──中高時代は心も体も大きく成長する時期ですが、指導する上で特に大切にされていることは?

北宮 毎年入部してくる生徒のほとんどが合唱初心者なので、中学1年でいきなり合唱には加わりません。声の出し方や、いい声を出すための体づくりなどの基礎から始めます。合唱は体全体が楽器なので、この期間がとても重要なのです。初めてステージに立つ9月の文化祭に向けて、まずは臆せず声を出せるようにすることが第一目標です。

佐藤 最も大切なのは、子どもの健全な発育を伸ばすこと、一人ひとりの子どもが本来持っている声を引き出すこと。それぞれの声に合わせたパート分けも重要ですし、声変わりの時期には、無理に声を出させることはしません。中には、アルトからソプラノに変わる子もいるんですよ。

また、歌のイメージを一致させるために、歌詞や情景など、その曲の背景を細かく解説することもよくあります。単に歌詞を覚えて歌うのではなく、曲の中で何が起こっているのかが頭で理解できると、声がグンと明るくなり、表現力の豊かさにつながります。歌っている生徒が、「指揮を見ていると、先生の後ろに情景が見えてくる」と言ってくれたことがありますが、そうやって気持ちを同化することができるのですね。

──音楽部の伝統として掲げている「清泉サウンド」とは?

佐藤 よく「凛(りん)とした、透明感のある、温かい声」と生徒たちに言うのですが、そこには3つの願いが込められています。まず、常に未来に向かって凛とした姿勢を持ち続けること。次に、それぞれが隣の人の息づかい(ブレス)を聞き合うことで、人の気持ちに寄り添う心を育てること。そして3つめが、聞いてくださる方が幸せな気持ちになるような温かい歌声を目指すこと。この「清泉サウンド」は、私たちが最も大切にしているものです。

──今後の夢はありますか。

佐藤 基本的には子どもたちの成長を助けるためのクラブ活動ですから、清泉サウンドを受け継ぐとともに、生徒たちが本当にやりたいこと、生徒たちの成長につながることを大切にしていきたいと考えています。

また、20世紀後半以降に作られたものを中心に、ヨーロッパの現代宗教曲を日本の皆さんにご紹介することも一つのミッションだと思っています。定期演奏会で歌う曲の中には、日本初演の曲や、作曲家の方に委嘱して作っていただいた曲も多いんですよ。

私は今年から非常勤になり、少し時間に余裕ができたので、北宮先生をはじめ、音楽部の卒業生が所属する「La Pura Furente」の指導にも力を入れていけたらと思っています。

河西 みのり

河西 みのり

主にカレーを食べています。

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