2019年、文化庁が発表した最新のクリスチャン・教会数は?(前編)教派別ランキング20

 

最新の文化庁編『宗教年鑑』(平成30〔2018〕年版)によると、教会数は全体としてやや増えているが、信者は減っているところが多く、主要教派で目立った教勢の伸びは見られなかった(80~85頁)。

8位の日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団は、昨年587人増えて7位になったが、今年480人減って、日本同盟基督教団が7位に戻った。10位の日本キリスト教会は、今年228人減って順位を落とし、イムマヌエル綜合伝道団が9位になった。

教会の総数は5818(以下、2017年12月31日現在)。昨年576355、一昨年574375(は増、は減。以下、一昨年の2016年版まで比較する)。信者数は95万9640人。昨年96万253人613人、一昨年96万8066人8426人。

日本の総人口1億2644万3000人(18年10月1日現在、総務省統計局の確定値)のうち、クリスチャンは0・76%となる。

『宗教年鑑』では、文部科学大臣所轄包括宗教法人として登録されている教会のみを扱っている。また、各宗教法人による「報告」に基づいてまとめられているため、正確な実数とは言えず、礼拝やミサに毎週集うクリスチャンになると、実際にはもっと少ないと考えられる。

「異端」とされるモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)なども、包括宗教団体のために入っている。ちなみにモルモン教は教会数261(昨年同)、信者数12万7166人(昨年12万6500人666人)。

前編では、各教派の信徒数ランキングを20位まで見ていく。

キリスト教の中はおもにカトリックと正教会、プロテスタントがあり、プロテスタントはさらにさまざまな教派に分かれている。

1位はカトリックで、44万832人(クリスチャンのうち約46%)。昨年44万1107人275人、一昨年44万3721人2889人(以下、1%未満は計算しない)。教会数は778。昨年7791、一昨年7857。

カトリックは世界最大のキリスト教の教派で、全世界に約13億人の信者がいる(世界総人口の約18%)。プロテスタントは日本独自の組織を持ち、礼拝などのあり方もさまざまだが、カトリックは世界組織で、ミサのあり方も世界共通だ。

2位は日本基督教団で、11万5502人(クリスチャンのうち約12%)。昨年11万7773人2271人(約2%減)、一昨年11万92233721人(約3・2%減)。教会数は1519。昨年15201、一昨年15212。

日本基督教団は、戦時中にプロテスタント諸教派が合同されてできた。そのため戦後、ルーテルやバプテストなど、教派的伝統を重んじて独立した教派も多くあったが、今なお日本最大のプロテスタントの教団だ。そのため、特色の違う長老改革系と組合系の教会などが混在する。

プロテスタントは、16世紀、ルターやカルヴァンらが進めた宗教改革によってカトリックから分かれ、以後、ルター派、改革派、メソジスト、バプテストなど、その聖書解釈や信仰告白、強調点の違いなどで分裂した。

主流派は日本キリスト教協議会(NCC)、福音派は日本福音同盟(JEA)に加盟している教団・教派とすると、日本基督教団は主流派。

3位は日本聖公会で、4万8449人(クリスチャンのうち約5%)。昨年4万9228人779人(約1・6%減)、一昨年5万5122063人(約4%減)。教会数は279で、一昨年から変わらない。

日本聖公会は、プロテスタントの中でもカトリックに最も近い英国国教会の流れにある米国聖公会などの宣教師により1887年に創設された。主流派。

4位は日本バプテスト連盟で、3万4121人(クリスチャンのうち約3・6%)。昨年3万3984人137人、一昨年3万4830人709人(約2%減)。教会数は287で、昨年2852、一昨年2843。

日本バプテスト連盟は、米国で最も信徒数が多い南部バプテスト連盟により、戦前から九州を中心に伝道がなされ、戦後は全国に広がった。米国で南部バプテスト連盟は福音派だが、日本バプテスト連盟は主流派。自覚的な信仰告白をしてから「バプテスマ」(「洗礼」と言わない)を受けることが特徴で、カトリックなどの幼児洗礼を認めない。また、他教派は滴礼が多いのに対して、全身で水に浸かる全浸礼を行う。それぞれの教会ごとに独立した各個教会主義で、教会員による総会によって物事を決める会衆制であり、牧師や役員が決める監督制や長老制ではない。

5位は日本福音ルーテル教会で、2万1908人(クリスチャンのうち約2・3%)。昨年2万1810人98人、一昨年2万1941人33人。教会数は一昨年から変わらず122。

日本福音ルーテル教会は、宗教改革者ルターによる教派。ルター派は発祥のドイツをはじめ北欧に多いが、日本では米国のルーテル教会の宣教師により、1893年に始まった。まず九州を中心に伝道され、戦時中、日本基督教団に合同されたが、戦後間もない1947年、日本福音ルーテル教会として再出発した。プロテスタントの中では比較的カトリックに近い礼拝が守られる。主流派。

6位はセブンスデー・アドベンチスト教団で、1万5207人(クリスチャンのうち約1・6%)。昨年1万5194人13人、一昨年1万4797人410人(約2・7%増)。教会数は172で昨年と同じだが、一昨年の175からは3つ減っている。

セブンスデー・アドベンチスト教団は19世紀、米国で盛り上がった再臨待望運動から生まれた教派。初期は再臨日を特定するなど、異端の扱いを受けることが多かった。キリストが復活された日曜日ではなく、土曜日を安息日として礼拝を守るなど、一般の教会との違いがある。

7位は日本同盟基督教団で、1万2455人(クリスチャンのうち約1・3%)。昨年1万2463人8人、一昨年1万2405人50人。教会数は250で、昨年2437、一昨年2455。

日本同盟基督教団は日本の福音派(聖書信仰を強調する)で代表的な教団。1952年に設立されたが、前身は22年に設立された日本同盟基督協会。1891年に来日した北米スカンヂナビアン・アライアンス・ミッションの宣教師の伝道によって始まった。

8位は日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団で、1万2269人(クリスチャンのうち約1・3%)。昨年1万2749人480人(約4%減)、一昨年1万2162人107人。

日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団はペンテコステ派(新生とは違う「聖霊のバプテスマ」を受け、異言を語ることを強調する)の代表的な教団で、JEAの会員。1949年に設立されたが、始まりは13年、米国アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団の宣教師の伝道による。

9位はイムマヌエル綜合伝道団で、1万1388人(クリスチャンのうち約1・2%)。昨年1万1378人10人、一昨年1万1579185人(約1・6%減)。教会数は昨年と同じ113で、一昨年の114からは一つ減った。

イムマヌエル綜合伝道団は福音派で、ホーリネス系(きよめ派)の教団。日本ホーリネス教会の蔦田二雄(つただ・つぎお)が戦後すぐに創設した。

10位は日本キリスト教会で、1万1265人(クリスチャンのうち約1・2%)。昨年1万1493人228人(約2%減)、一昨年1万1637372人(約3・2%減)。教会数は一昨年から136。

日本キリスト教会は改革長老系の教団で、1872年に設立された日本最初のプロテスタント教会、日本基督公会(現在の横浜海岸教会)の流れを汲み、「日本基督一致教会」(77年)、「日本基督教会」(90年)を経て、戦時中、日本基督教団に合同したが、1951年に一部の人々が離脱して「日本基督教会」として再出発した。

11位、日本キリスト改革派教会(9765人)。12位、日本正教会(9516人)。13位、日本イエス・キリスト教団(7726人)。14位、日本ホーリネス教団(7393人)。15位、在日大韓基督教会(6267人)。16位、日本長老教会(4157人)。17位、日本福音教会(3735人)。18位、日本ナザレン教団と基督兄弟団(3651人)。19位、日本バプテスト同盟(3603人)。20位、救世軍(3167人)。

 






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