庭野平和財団「庭野平和賞奨励賞」を新設 カトリック信徒の人権活動家ルキ・フェルナンド氏が受賞

庭野平和財団(理事長:庭野浩士)は「庭野平和賞奨励賞」を新設し、第1回受賞者を発表した。スリランカの人権活動家で、カトリック信徒のルキ・フェルナンド氏(49)が、受賞者の1人に選ばれた。

ルキ・フェルナンド氏©Lucille Abeykoon

「庭野平和賞奨励賞」は、宗教的精神を基盤として、社会的な諸課題に対して草の根の活動を展開し、大規模な活動でなくても着実な成果を上げ、地域の人々の幸福と平和な社会の構築に尽くす個人や団体に将来への期待と激励の意味を込めて贈られる。受賞者は、毎年3人を上限に「庭野平和賞奨励賞委員会」によって選定され、正賞の賞状、副賞の賞金200万円が贈呈される。

今回受賞したのは、インド北東部アッサム州西部のボド地域で、 The Action Northeast Trust (The Ant) を設立し、女性の人権擁護と地位向上、暴力的環境下にある人々の心身の ケアに取り組んできたジェニファー・リアン氏。第4代インドネシア大統領・故ワヒド大統領の長女で、「グスドゥリア ン・ネットワーク」を設立し、イスラムにおける人道主義を全国的な運動へと発展させてきたアリサ・コトルンナダ・ムナワロ・ワヒド氏。そして、ルキ・フェルナンド氏の3人。

フェルナンド氏は、アジアで最も長い内戦の1つといわれたスリランカ内戦*の中、国際青年キリスト教学生運動 (IYCS)のアジアコーディネーターなどを歴任し、現在はフリーの人権活動家として活動。民族の違い (シンハラとタミル)や、宗教の違い(仏教とイスラム教)から多数派と少数派、敵味方に分断される現場において、反政府側の民族として敵視・抑圧されるタミル人や少数派からも疎外されるイスラム教徒の声に耳を傾け、救援と人権擁護に取り組んでいる。同時に、民主主義の醸成を図るネットワーク形成に尽力するほか、戦下で生じた行方不明者の捜索活動の支援を続けている。

前カトリック・マンナール県司教(故人)とカトリック修道女と(マドゥーのカトリック教会にて) ©Lucille Abeykoon

民族的には多数派のシンハラ人、宗教的には少数派のカトリック教徒であり、 時には敵や裏切り者と見なされても、表面の敵対や偏見ではなく、人々の奥にある良心を見つめ続け、悲苦を自らのものとして寄り添い続けている。正義への信念を胸にスリランカの平和と民主主義の醸成のために行動し続けるフェルナンド氏の活動は、庭野平和賞奨励賞が求める宗教的精神に基づく平和のための実践であるとし、他の3人と共に同賞に選出された。

贈呈式は、9月後半に受賞者の活動地域に赴いて実施される。 贈呈式の模様は、10月中旬頃に財団公式ウェブサイトにて公開する予定。

*1983年から2009年にかけてスリランカ政府と同国からの分離独立を求めるタミル人組織「タミル・イ ーラム解放の虎(LTTE)」の間で展開された内戦。内戦は特に 北東部居住のタミル人の生活を著しく不安定にし、期間中に約 30万人の国内避難民を生み出した。また、シンハラ人とタミル人のいずれともアイデンティティーが異なるイスラム教徒は、内戦中双方から 著しく迫害された。さらに、シンハラ人の多くが仏教徒、タミル人の多くがヒンドゥー教徒であること から、この対立は宗教間での偏見や対立も生み出した。2009年に LTTE の最高指導者の殺害による政府軍が勝利し終結。 (庭野平和財団がまとめたものから抜粋)

 

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