盲伝「創立70周年記念感謝会」開催 雲然俊美氏がメッセージ

「盲伝」の名で親しまれている日本盲人キリスト教伝道協議会(議長:田中文宏)は11月22日、全国障害者総合福祉センター戸山サンライズ(東京都新宿区)において創立70周年記念感謝会(主催:日本盲人キリスト教伝道協議会)を開催した。新型コロナウイルス感染拡大の影響により1年遅れての開催となったこの日、会場には全国から約40人が集まり、11人がオンライン(Zoom)で参加した。

全国から集まった参加者たち。オンラインでの参加者は前方のスクリーンに映し出された=11月22日、全国障害者総合福祉センター戸山サンライズ(東京都新宿区)で。

日本盲人キリスト教伝道協議会(以下、盲伝)は、視覚障害信徒と晴眼信徒が手をたずさえ、キリスト教各教派が協力して生まれた超教派の総合的な視覚障害者伝道団体。その歴史は、1948年にヘレン・ケラー氏が日本に来日した時から始まる。当時、同氏が総裁を務めていたアメリカの視覚障害者伝道団体ジョン・ミルトン協会が、日本の視覚障害者団体を支援することになり、51年8月に盲伝が誕生した。78年に同団体からの支援は終了し、その後は自立の道を歩み、昨年創立70年を迎えた。

第1部の記念礼拝では、マルコによる福音書第8章22〜26節が朗読され、日本基督教団総会の新たな議長に選出されたばかりの雲然(くもしかり)俊美氏(日本基督教団秋田桜教会牧師)が、「一人と向きあわれる主と共に」と題してメッセージを行った。

雲然俊美氏

神学校2年生の時に運転の奉仕をしたことがきっかけとなり、以来43年間盲伝と深く関わってきたという雲然氏。盲伝に集う一人一人の信仰、共に歩む牧師たちの姿の中に、「これぞキリスト者」ということを知らされ、それによって自身が牧師として歩む道筋と方向性が定められたことを明かした。それは「1人との関わりを大切にする」という姿勢で、先に朗読された聖書箇所をとおしてその意味について語った。

朗読された聖書箇所は、ある人が一人の盲人を連れてきて、イエス・キリストがその盲人の手をとって村の外に連れ出し、両手をその目の上に置いて手当てをするという場面。「主イエスはおそらくこの盲人の真向かいに立たれて、両手を盲人の目の上に置いたのだと思います」と話し、次のように続けた。

皆さんはその姿をリアルに想像できるのではないでしょうか。私がこの盲伝での関わりで学んだことは、主イエスがこのような形で一人の人と向かい合い、深く関わられ、共に歩まれたことを、リアルに体験することができたということです。7章にも同じように耳の聞こえない人の両耳に指を差し入れたとあります。ここでも「両手」です。それが主イエスの癒しの姿なのです。私は、盲伝の集会あるいは野外でのレクリエーションの中に主イエスの姿を見出すことができます。人々との出会いを大切にし、心を込めて手当てをなさった姿をです。

さらに「盲伝を用いて、神さまは私を育ててくださった」と述べ、創立70周年を記念して作られた記念誌には、懐かしい人たちによってそのことが証されていると語った。また、マルコによる福音書第10章では、バルテマイという盲人が出てきて、イエス・キリストはその目を見えるようにした後、都エルサレムに入られる。雲然氏は、「主イエスは、一人の盲人との出会いによって、十字架がはっきり見えるようになったのではないか」と述べ、こう締めくくった。

それは、私たち一人一人のチャレンジではないでしょうか。主イエスの十字架と復活、その恵みをはっきりと見て証する、私たちはそのことのために立てられているのではないでしょうか。70周年を迎えて、これからも一人一人の証を成していくことを願います。そして、十字架の縦棒で神さまとの関係を持ち、横棒で仲間とつながり、「喜ぶ者、泣く者と共に、横の関係を広げていこう」というように、信仰の旅をする一人一人との関係を大事にしていきたいと思います。

創立70周年を記念して作られた記念誌。

盲伝は、▷視覚障害者と福音をつなぐ伝道(月刊誌「信仰」の発行、もうでん録音ライブラリー)、▷視覚障害信徒や牧師、晴眼信徒の交わり(全国修養会、視覚障害牧師会)、▷教会の宣教につかえる奉仕(点字図書の発行と取次、点字教会案内の作成サービスなど)、▷バングラデシュのバプテスト統合宣教学校をとおしてアジアの視覚障がい女性の自立の支援など4つの分野に分けて活動を行なっている。また、信徒会は、北海道、東北、関東、北陸甲信越、東海中部、近畿、中国、九州地区に広がっており、第2部では、それぞれの地域から参加した人たちが、現況報告や、盲伝での活動の思い出などを語り合った。

 






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