オンライン礼拝を実施した二つの教会では、どんな準備をし、献金にどう対応したか

 

7日に出された「緊急事態宣言」を受けて、礼拝のライブ配信などを検討している教会も多いだろう。ただ、そういったサービスを今まで利用したことがないために、戸惑う声も上がっている。特にパソコンやスマホに不得手な高齢者の信徒が多いと、ますます腰が重くなりそうだ。

安井宣生牧師

日本福音ルーテル健軍(けんぐん)教会(熊本市)の安井宣生(やすい・のぶお)牧師は語る。

「高齢者の多い教会なので、『自分が感染源になってはいけない』と、ある病院に勤務する信徒が礼拝出席を自粛しました。そのことがきっかけとなり、引き続き教会で礼拝を続けながら、出席を自粛する人に向けて配信を開始しました」(取材後、健軍教会では5月3日まで礼拝休止することになった)

山下真実牧師

一方、緊急事態宣言の対象となった埼玉県にある日本バプテスト連盟・ふじみ野バプテスト教会ではどうか。山下真実(やました・まこと)牧師は言う。

「状況が悪化するまで、オンライン配信は具体的に準備していたわけではありません。何しろ信徒の中には、スマホなどを使わない人もあり、インターネットにつなぐ準備が必要な人も多くいました」

そのため、信徒を置き去りにしてはいけないと、礼拝をライブ配信するにあたっての説明や環境整備に3週間ほどの時間をかけた。今でもアプリの立ち上げなどに不具合が生じた教会員には、直接電話をかけて問題解決の手ほどきをしている。

安井牧師はフェイスブックで配信動画をしているが、そこに信徒の顔が映り込まないよう配慮し、説教の中でも、個人が特定できるようなエピソードを語らないようにしている。不特定多数の人が見る可能性があるため、肖像権やプライバシーの面でも、これらのことには注意する必要がある。

片や、山下牧師はズームというアプリを選択した。

「これからは礼拝だけではなく、役員会や教会学校、祈祷会などをネットで行うことを考えれば、お互いの顔が見えて双方向で対話のできるズームのほうが優れています。何より、いくつものアプリを使って、余計な混乱が生じるのを避けたかったのです」

オンライン礼拝を実際に行ってみてのメリットとデメリットを聞くと、安井牧師はこう答えた。

「デメリットはほとんどありません。病気などで礼拝に来ることのできない信徒にも見てもらえて、牧会的にもいいと思います。また伝道的にも利用されています。教会と関係のない個人的な友人や、教会関係施設の職員、音楽会で教会を利用している地域の人など、ふだんは礼拝には来ない人が、ネットだからと気軽に礼拝を覗(のぞ)いてくれ、コメントなどをしてくれています」

礼拝を完全にオンラインのみに切り替えたふじみ野教会の山下牧師は、もう少し状況はシビアだという。

「ふだん礼拝に来られなかった人が参加できるというメリットがある一方で、ふだん教会に来ていた人が参加できないというデメリットを感じています。

事態が収束すれば、前のように集まって礼拝を再開できますが、今回の事態を通して得た感覚や、『教会とは何か』という問いには、これからも引き続き取り組んでいくつもりです」

ひとつ気になるのは献金についてだ。オンラインや電子マネーで献金をささげることは日本の教会では馴染みがなく、まだ現金を献金袋に入れるということが主流だ。だからこそ、オンライン礼拝になると、礼拝出席数や教会財政の面でマイナスに働くのではないかと思われる方も多いだろう。

安井牧師は言う。

「(経済悪化の影響で)収入が激減している人もある中ですから、献金が減少することは受け入れなければならないと思います。しかし中には、献金を郵送してくださったり、週日に直接届けてくださったりする方もあります。この間は、教会員ではない、遠隔地の複数の知人から『礼拝献金』が寄せられました」

ふじみ野教会では、すべての献金を銀行振り込みに切り替えた。現金書留も考えたが、銀行振り込みのほうが履歴も残り、受け取る手間もリスクもない。オンラインで献金できる方法も検討したかったが、時間もノウハウもない中で、それが現状ではベターな選択だったという。

私たちは今、「礼拝を共にする」ことがどういうことなのかが問われている。従来のあり方にとらわれず、オンライン・ツールという現代的なかたちで礼拝をシェアし、イエスの教えをバズらせ(すごい勢いで拡散させ)、神のフォロワーを増やすという考え方もあっていいのではないだろうか。

原口 建

原口 建

バプテスト派。オーストリア・カナダに留学経験を持つ。大学の専攻は仏文学。

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