【インタビュー】四谷新生幼稚園副園長・上瀧慶大さん(後編) 今まで「神様はいない」と園児が言うのを聞いたことがない

 

日本基督教団・四谷新生教会(的場惠美子牧師)付属四谷新生幼稚園(東京都新宿区、同園長)を訪れ、副園長を務める上瀧慶大(かみたき・けいた)さんに話を聞いた。

上瀧慶大さん=8日、四谷新生幼稚園(東京都新宿区)で

──職員の方は全員クリスチャンですか。

職員は全部で10人いますが、クリスチャンは園長の的場牧師と副園長の私だけです。ただ、キリスト教系の学校を出ていたり、小さい時に教会学校に通っていた経験のある人ばかりなので、聖書を読んだり賛美歌を歌ったりすることにまったく違和感はありません。毎朝、聖書を開いて、「信徒の友」(日本キリスト教団出版局)の「日毎(ひごと)の糧」でその日の箇所を読んでから仕事が始まります。

私もキリスト教系大学を出て幼稚園教諭になりましたが、洗礼を受けたのは5年前のクリスマスです。

──それはどういうきっかけで?

大学を卒業して最初に勤めたのは中目黒の幼稚園で、そこも日本基督教団の教会付属幼稚園でした。そこで7年勤め、四谷新生幼稚園に移ってから12年になります。洗礼を受けたのは主任になった時で、これから自分が先頭に立ってやっていくという中で洗礼を考え始め、クリスチャンになりました。

洗礼を受けたのは四谷新生教会ですが、最初の中目黒の幼稚園での出会いが私をクリスチャンへと導いてくれたと思っています。中目黒の幼稚園で園長先生(牧師)から、「クリスチャンになりなさいとは言いません。ただ、一緒に聖書の学びはしていきましょうね」と言っていただいたのです。最初は「教会の幼稚園だからクリスチャンにならなければいけないのかな」という思いがあったのですが、決して強制しない園長先生の言葉が心にすっと入ってきたのです。「クリスチャンにならなくてもいい」ということにある意味救われ、働く中でいろいろなことがあっても、「その一つ一つが神様が用意してくれたことなんだ」と自然に思えるようになっていました。

そして、当園で主任となって7年経ったとき、「キリスト教幼児教育の基盤であるキリスト教を自分の中でもっと深めていきたい」と思うようになりました。その中で、教師や子どもたちに神様のことを素直に深く伝えていくことができるのかなと思ったのです。そんな時ふと、「これまで相手のせいにしてきたことも、それは自分に必要なこととして神様が用意してくださったのだ」と素直に思える時がありました。いま思い起こすと、それが救いを受け入れた瞬間だったのかもしれません。

──洗礼を受けて何か変わりましたか。

自分の気持ちの置くところだったり、自分の中での変化であって、表立ってのことはないかなと思います。

園舎につながっている礼拝堂では、合同礼拝、入園式、クリスマス、卒園式などが行われる。

──幼稚園の先生になったきっかけは?

「子どもに携わる仕事がしたい」という思いではありましたが、特別に幼稚園の先生になりたかったわけではありません。ですから、最初の頃は幼稚園って何かよく分からず、「子どもたちと遊べばいいんだ」くらいにしか思っていませんでした。でも先輩教諭に、「あなたはただのお兄さんではないのよ。保育者なのよ」と言われて気持ちが変わり、「保育とは何か」を真剣に考えるようになりました。今は、幼稚園の教諭になったのは神様の導きだと確信しています。

──日々、子どもたちと一緒にいて、どのようなことを感じますか。

見えないものを信じることはとても難しいことですが、心がまっさらな子どもたちは、素直にそれを受け入れるので、「すごいなあ」と思います。今まで20年近く幼稚園にいて、「神様は見えないから、いないんだ」と園児が言うのを聞いたことがありません。「子どもたちは今を一生懸命生きていて、素直に受け入れて過ごしているんだな」とつくづく思います。

──最後に、同園が目指すべき保育について教えてください。

子どもたちはさまざまな個性を持っています。足の速い子もいれば、遅い子もいます。絵の上手な子もいれば、あまり上手くない子もいます。「そういう子たちがいて、一つの幼稚園という社会なんだよ」ということを伝えていきたいです。絵を上手に描くことが目的ではなくて、「絵を描くって楽しいね」、早く走ることが目的でなくて、「走ることは楽しいよね」ということを子どもたちと一緒に感じていきたいですし、そういう子どもたちの姿を保護者たちにも見てほしいと思うのです。できることが目的ではなくて、楽しく取り組めていることのほうがずっと大事なんです。その経験を幼稚園時代にたくさん蓄えて、今後、小学校や中学校に行った時に、それを自分の力として発揮してくれたらと思うんですよね。

 






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