堀忠著 レプラと奇跡(大嶋得雄)【本のひろば.com】

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評者: 大嶋得雄

「このひとつのことば」をめぐる粘り強い探求
〈評者〉大嶋得雄


レプラと奇跡
脱神話化と脱医学化に向けて

堀 忠著
A5判・280頁・定価5940円・新教出版社
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本著の序論の冒頭には、デュフェリン侯爵夫人(一九世紀のインドにおける「救らい」運動の後援者)の、「『このひとつのことば』ほど、完全な悲惨と孤独を連想させるものは考えられもしないでしょう」という一文が引用されている。「このひとつのことば」とは、医学名「レプラ」であり、英語名「レプロシー」、日本語名「らい病」である。現在では、差別・偏見を伴うことから、「ハンセン病」と呼ぶように啓発されている。
昭和初期から、ハンセン病者は法律により、主に国の療養所に隔離されてきた。この隔離に加担した宗教のひとつがキリスト教である。このことは、わが国の「ハンセン病問題に関する検証会議」の報告書の中にも書かれている。
国立ハンセン病療養所多磨全生園内の単立・秋津教会で奉仕された故荒井英子牧師の著作『ハンセン病とキリスト教』(一九九九年)のあとがきの一文を引用させていただく。「初めて会う私にこう語りかけてきた一人の老人がいた。『あんた、キリスト教の牧師やてな。なんで聖書にはあんなに《らい病、らい病》と書いてあるんや。あんなに《らい、らい》と言うから、わしら差別されるんや。なんとか言うてみい』。……聖書に引き続き注解書も非難されたりする前に、反省し、誤りを詫びて、誤訳や注解を正しいものにしておくことを切望する」。

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#書評 #本のひろば

 






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