国際基督教大学名誉教授の古屋安雄氏、召天

 

古屋安雄氏(国際基督教大学名誉教授)が4月16日未明に召天した。91歳。葬儀は22日午後1時から同大礼拝堂(東京都三鷹市大沢3−10−2)で行う。司式は加山久夫氏(明治学院大学名誉教授)。 遺族は花料を辞退している。葬儀に関する問い合わせは、同大宗務部(電話:0422・33・3323)まで。

古屋安雄氏

1926(大正15)年、国際的都市だった上海に生まれる。米国で牧師となった父の古屋孫次郎は当時、上海中日組合教会牧師であり、3歳年下の熊沢義宣(東京神学大学名誉教授)はその教会の日曜学校に通っていた。また、国際政治学者の坂本義和も同じ教会で洗礼を受けている。

母親の静子は、日本女子大学校(現・日本女子大学)から移って神戸女子神学校を出た伝道者だった。孫次郎は神学的にリベラルだったが、保守的なクリスチャンだった母の影響もあり、古屋氏は日本の伝道において福音派を評価している。

12歳の時、日本に来て自由学園に入り、羽仁もと子のもとで学ぶ。45年、旧制高校2年の時、数カ月間、二等兵として軍隊生活を送る。

46年、自由学園男子部卒業。51年、日本基督教神学専門学校神学部(現・東京神学大学)卒業。その後、米国サンフランシスコ神学大学、プリンストン神学大学、ドイツのチュービンゲン大学に留学し、プリンストン神学大学大学院の神学研究科(組織神学)で神学博士号(Th.D.)を取得する。

59年に帰国して、国際基督教大学教会牧師とともに同大学宗教部長、教養学部人文科学科講師となり、63年に助教授、66年に準教授、72年に教授となる。97年に定年退任し、名誉教授に。その間、プリンストン神学大学、アテネオ・デ・マニラ大学の客員教授や、東京神学大学、東京大学、自由学園最高学部の講師を務める。98年に東京女子大学の宗教顧問となる。99年より聖学院大学大学院アメリカ・ヨーロッパ文化学研究科教授と科長に就任し、2010年に退任する。日本基督教学会理事、アジア・キリスト教教育基金(ACEF)理事長、2003年から賀川豊彦学会会長を歴任した。2007年に第38回キリスト教功労者を受賞。蝶ネクタイ姿が有名だった。

主な著書に『キリスト教国アメリカ』(新教出版社、67年)、『キリスト教の現代的展開』(同、69年)、『プロテスタント病と現代』(ヨルダン社、73年)、『激動するアメリカ教会──リベラルか福音派か』(同、78年)、『現代キリスト教と将来』(新地書房、84年)、『宗教の神学──その形成と課題』(ヨルダン社、85年)、『日本の神学』(大木英夫との共著、同、89年)、『日本伝道論』(教文館、95年)、『日本の将来とキリスト教』(聖学院大学出版会、2001年)、『日本のキリスト教』(教文館、03年)、『キリスト教と日本人』(同、05年)、『なぜ日本にキリスト教は広まらないのか』(同、09年)、『日本のキリスト教は本物か?』(同、11年)、『宣教師──招かれざる客か?』(同)、自叙伝『私の歩んだキリスト教』(キリスト新聞社、13年)など。

「日本の主流的なプロテスタント教会は殉教者の出ない教会である。ホーリネス教会などに殉教した牧師たちが数人いたが、主流教会には一人もいない。宣教師にも牧師にも、信徒にもただの一人もいない。これが韓国の教会との違いである」(『なぜ日本にキリスト教は広まらないのか──近代日本とキリスト教』教文館、24頁)

 






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