地上のすべての戦争にNO! 島 しづ子 【夕暮れに、なお光あり】

名古屋時代はよくチャリティーコンサートを主催しました。主な出演者はドイツで活躍する古賀敦子さん(フルート)とゲオルギー・ロマコフさん(通称ジョラさん・チェロ)でした。2人は「沖縄にも行くよ!」と言ってくれましたが、新型コロナの流行で2年間は来られませんでした。

「今年こそ実現しましょう」と相談していた矢先、2月24日ロシアのウクライナ侵攻が始まりました。ウクライナ人であるジョラさんは、その日故郷の祖父の葬儀でオデッサに滞在していました。空路ではドイツに帰ることができなくなり、彼は徒歩で隣国に行き、パリ経由でドイツに戻りました。

祖国が戦争状態では、「今年も来日は無理だろうなぁ」と思っていましたが、ある日、ドイツから「何とか日本に行き、沖縄にも行きたい」との連絡がありました。大車輪で会場を探し、コンサートの後援者を募集しました。友人たちの協力で名護市、宜野湾市、那覇市に会場が決まり、教会近くに住む方々のためにと地域の公民館を予約しました。地域の公民館は「沖縄でコロナ感染者が1000人を越えた場合は使用できない」との条件付きです。7月7日現在、沖縄県のコロナ感染者は2000人を超えていますから、公民館でのコンサートは、うふざと教会で行う予定です。

出演予定者はPCR検査の結果も陰性で、7月7日無事にフランクフルト飛行場に着いたと連絡がありました。演奏者も主催者も体調が万全でないとコンサートを開催できないことを痛感しました。

コンサートで努力するのは、集客です。コンサートの準備では最初にチラシ作成のために後援者募集を行いました。ある日、簡単にOKがもらえると思った会議で、強硬な反対意見がありました。がっかりする私に同情した辺野古海上チームの友人たちが、有力な後援先を提案してくれ、後援も取り付けてくれました。

最初に「やんばるシネマ」「島ぐるみ宗教者の会」、その後、名護市や名護市教育委員会の後援を受けることができました。次に日本基督教団沖縄教区宣教部、沖縄YWCA、沖縄キリスト教センターなどが続きました。

優れた演奏家との出会い、人と人とのつながりに恵まれて、また新しい出会いを計画できる幸いを感謝しています。そして、壁を越えて協力してもらうために「芸術の面から平和運動を支援する会」として「ムーサの会」を創りました。ムーサはギリシャ神話に登場する学芸を司どる女神ミューズの語源となったギリシャ語です。この会はゆるやかな会です。「特権として演奏者と食事ができる」としましたが、コロナ禍では難しいでしょう。それでも協力してくれる友人たちに心があたたまっています。

「主は驚くべきことをこの地に行われる。/地の果てまで、戦いをやめさせ/弓を砕き、槍を折り、戦車を焼き払われる」(詩編46編9、10節)

 

しま・しづこ 1948年長野県生まれ。農村伝道神学校卒業。2009年度愛知県弁護士会人権賞受賞。日本基督教団うふざと伝道所牧師。著書に『あたたかいまなざし――イエスに出会った女性達』『イエスのまなざし――福音は地の果てまで』『尊敬のまなざし』(いずれも燦葉出版社)。

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