三浦綾子生誕100周年で映画『塩狩峠』『海嶺』のクラファン達成 パネルディスカッションも後押し

三浦綾子生誕100周年を記念し、「いま、三浦綾子作品をどう読むか」と題するパネルディスカッションが5月16日、オンラインで開催された(いのちのことば社主催、キリスト新聞社、クリスチャン映画を成功させる会協力)。三浦綾子原作による映画『塩狩峠』『海嶺』のHDリマスター化を目指して立ち上げたクラウドファンディングを後押しするためのもの。パネリストとして中村啓子(三浦綾子読書会朗読部門講師)、難波真実(三浦綾子記念文学館事務局長)、熊田和子(編集ライター)の3氏を招き、司会を松谷信司氏(本紙編集長)が務めた。

まず中村氏は現代で三浦氏の作品を読む意義について「若い世代に愛とは何かを示すのに有益」と自身の体験を語った。自身が大学礼拝で説教奉仕を担当した際、『道ありき』から三浦さんがクリスチャンとなるきっかけとなった前川正さんとのやり取りの場面から以下の言葉を引用した。

 「その愛が単なる男と女の愛でないのを感じた。彼が求めているのは私が強く生きることであって、私が彼のものとなることではなかった。彼の背後にある不思議な光は、あるいはキリスト教ではないか。私を女としてではなく、人間として人格として愛してくれたこの人の信ずるキリストを私は私なりに尋ね求めたいと思った」

礼拝後に送られてきた感想で多くの学生がこの引用箇所に触れており、中には「人格を愛することの大切さに気付かされた」という意見もあったという。中村氏はここに綾子さんの作品を伝える必要性を感じているという。

その後、3人による「今こそ読みたい三浦綾子作品ベスト3」が発表された。『銀色のあしあと』『泥流地帯』『塩狩峠』の3作品を選んだ熊田氏は、三浦さんの作品の特徴として史実から展開される物語の巧みさを挙げた。実際、『泥流地帯』と『塩狩峠』は三浦さんの体験した出来事が執筆の動機となっている。ここに三浦綾子作品が人々の心に響く理由なのではないかと語った。

 

難波氏は三浦さんの作品の影響力について語った。『塩狩峠』は執筆から60年経過し、物故作家の作品としてもすでに20年経過している。しかし今なお年間の発行部数は1万部を超え、新潮出版が毎年夏に発表する「新潮の100冊」にも数十年間ノミネートされ続けている。新潮出版の編集長から「宝くじみたいな恐ろしい確率であることを覚えておいてください」と言われたとの逸話も紹介した。

5月末を期日としていたクラウドファンディングには、当初の目標額であった600万円を上回る867万2000円の支援が寄せられた(計372件)。いのちのことば社は、「いただいたご支援は、当初の予定より高品質な映像の作成と今秋に予定しております『上映会』のための費用として大切に活用させていただきます」としている。

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