ウクライナ侵攻を非難 ICU、立教、明学国際平和研究所が声明

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ロシア軍によるウクライナ侵攻を受けて、キリスト教主義の教育機関からも声明が相次いでいる。

明治学院大学国際平和研究所(PRIME、高原孝生所長)の有志による声明「ロシア軍のウクライナ侵攻を非難するPRIME有志のアピール」が2月26日、同研究所の公式サイトで発表された。同アピールは、「核大国である国連安保理常任理事国の一つが、明白な国際法違反を冒して、市民を殺傷」している事態を強く非難し、「速やかな軍事行動の停止とロシア軍の撤収」を要求。各国政府に対して、「外交的努力により現下の危機を一刻も早く収束させるよう」求めた上で、「事態を憂える世界の人々、なかんずくロシア国内で抗議の声を上げている勇気ある人々に連帯の意を表すとともに、私たちは、このような事態を招いた原因がどこにあるのかを追究し、こうした悲劇をどうすればなくしていけるのかという課題に、あらためて取り組んでいきたい」との姿勢を明らかにしている。3月1日時点で59人の同大関係者が賛同。

 国際基督教大学(ICU)の岩切正一郎学長=写真右=は2月28日、「軍事侵攻に反対する」との学長声明を発表。「第二次世界大戦の悲惨を反省し、恒久平和を希求し、国際社会において平和を築く人を育てるために献学(設立)された」大学として、今回の軍事侵攻に大学として「否」を表明。「我々は、平和を求め、平和を築くために努力する人々と連帯する。我々には何ができるだろうか。平安を祈ること、侵攻への反対の声をあげること、苦しんでいる人々への支持を表明すること。それは、日常の生活の中で示すことができる抵抗の形である」とし、「武力によって他国の主権を蹂躙し、そこに住む人々の日常を破壊し、恐怖と不安を生み出し、人間の権利をないがしろにする暴挙」に反対する意向を示した。

 立教大学の西原廉太総長=写真左=は3月2日、「ウクライナの地に平和を」と題する総長メッセージを発表。ウクライナの民話をもとに1965年、福音館書店から出版された絵本『てぶくろ』から、「小さな手袋がはじけそうになりながらも、みなが少しずつ場所を空けて、譲り合い、温かさの中で過ご」すという物語を紹介。歴史的にさまざまな民族や国家の狭間の中で翻弄されてきた中で、「誰しもが排除されることなく、居場所が与えられながら、共に生きるというウクライナの人々が理想とする社会が描かれていたのではないか」とし、その理想とは真逆の事態が進行していることを憂慮。

昨年春、同大が公表した「立教大学ヒューマン・ディグニティ宣言」から、「『尊厳』を英語ではdignityと言いますが、その語源はラテン語のdignitasであり、本来の意味は『その存在に価値があること』です。すべての<いのちあるもの>の存在には価値があり、それは決して損なわれてはならない。これこそが、立教大学が創立以来、規範としてきたキリスト教の中心的教理にほかなりません」の一節を引用しながら、武力行使を「人間の究極の尊厳を蹂躙する最大の暴力」と非難し、「ただちにあらゆる戦闘行為が中止され、一日も早くウクライナの人々の安全と、平和な社会が回復されること祈り、願い、求めます」と訴えている。

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