【米CT】 エルサレム総主教「12月25日にクリスマスキャロルを歌うな」と命令

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正教会の命令によって、ヨルダンとイスラエルのキリスト教徒が、西暦のクリスマスと東暦のイースターを祝うことで合意していた聖地における祝日の統一が疑問視されている。米「クリスチャニティ・トゥデイ」が報じた。

中東のキリスト教徒約13万人を擁するエルサレム正教会の総主教テオフィロス3世=写真=は、キリスト教の祝日の祝い方を統一するという西欧のキリスト教会との45年前の合意を覆すかのような覚書を総主教庁のウェブサイトに掲載した。

1975年以来、ヨルダンとパレスチナ自治区(エルサレムとベツレヘムを除く)、イスラエルの西洋・東洋のキリスト教徒は、クリスマスはグレゴリオ暦の12月25日に、イースターは東方正教会が祭日を決める際に現在も採用している旧ユリウス暦に基づいて公に祝ってきた。ユリウス暦では、クリスマスは1月7日、イースターは西洋より1週間遅いのが一般的。

イスラム教徒の多いヨルダンでは、12月25日が国民の祝日となっているが、イースターは祝日ではない。イスラム教徒は、イエスの処女降誕を信じている。また、ナザレなどイスラエルのパレスチナ系都市でもクリスマスは公に祝われている。

11月27日に発表された総主教の覚書は、東方教会では聖スピリドンの祝日である12月25日に、キリスト教のキャロルを控えることが求められている。その日の典礼は「不思議な力を持つトリミトスの司教、聖スピリドン」の礼拝を守るべきであり、「12月25日の典礼はクリスマス礼拝ではない」としている。

総主教は続けて、「この日、聖スピリドンの祝日の礼拝が行われた後、ギリシャ正教の信徒は、教会的ではなく社会的な性格のデモンストレーションを行うことができる」と記し、最後に「あなたがたの一致を期待する」と結んで、覚書の完全遵守を呼びかけている。

しかし、多くのクリスチャンは怒りをもって反応し、総主教の呼びかけに従わないことをソーシャルメディアに誓っている。その覚書に反対する署名活動を始めようとする人々もいる。

ヨルダン・パレスチナ正教会中央協議会のメンバーであるニダル・カキッシュ氏は、レリジョン・ニュース・サービス(RNS)の取材に対し、統一された祝日はすべての教派のキリスト教指導者によって合意され、ヨルダンの前支配者であるフセイン国王の祝福を受けていたと語っている。それを覆そうとする試みは、ヨルダンのキリスト教徒の意思と前国王の遺志をないがしろにするもの」とカキッシュ氏は言った。

しかし、総主教に近いヨルダン人キリスト教徒の上院議員であるアウデ・カワス氏は、総主教の決定は新しいものではないとRNSに語った。カワス氏によると、同じ命令は毎年出されており、正教会の聖職者が祝日をどのように過ごすかにのみ適用され、一般の人々には適用されないという。

ただ、批判的な人々は、この覚書がオンライン上で流され、聖職者だけでなく地方の一般信徒の責任者にも向けられていると指摘。「教会のウェブサイトから削除されるのを待つ」とカキッシュ氏は言う。

イスラエル福音主義評議会のボトルス・マンスール会長は、キリスト教の祝祭日に関する決定は、特定の教団が行うべきではないとし、「祝日の統一に向けて長い道のりを歩んできたのに、テオフィロス総主教は後退させようとしている」と非難した。

ナザレのバプテスト・スクールの事務局長でもあるマンスール氏は、キリスト教徒の存在感があまりに小さいので、キリスト教徒が協力して共に祝う必要があると述べた。「一致により、イエス自身が高められ、神の愛が受肉した町には特別な味わいがもたらされる」

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