11月14日 テサロニケの信徒への手紙一4章14節

神は同じように、イエスを信じて眠りについた人たちをも、イエスと一緒に導き出してくださいます。
テサロニケの信徒への手紙一4章14節(参照箇所同書4:13〜18)

 

テサロニケの信徒への手紙の執筆当時はキリストが地上から姿を消されて、20年程経った頃で、生前のキリストを直接目撃した人の証言も聞く機会があったものと思われます。それだけに、語る者は熱心に語り、聞く者も真剣に聞いたことでしょう。中でもキリストが再びやっておいでになるという、キリスト再臨はかなりの緊迫感をもって受け取られたにちがいありません。

人々は、キリスト再臨のことを思うと、折角の機会を見ることなく、死んでしまった人のことが残念でしかたがないのです。パウロは、「嘆き悲しまないように・・・」(13節)と言っていますから、相当の悲しみがあったと想像されます。これにたいして、パウロは、イエスは死んで復活されたのだから、同じようにイエスを信じて死んだ人もイエスと一緒に復活すると慰めているのです。

たまたま、テサロニケの教会で起こったこととはいえ、パウロは、人間が自分なりの考えに縛られずに、キリストとはどのようなお方であるかわきまえて、物事を見るようにと言っているのです。このことをさらに押し広げれば、信仰を持つ機会を得ずに死んだ人たちにもキリストが働いてくださらないはずはありません。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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