2月8日 マタイ21章5節

「シオンの娘に告げよ。『見よ、お前の王がお前のところにおいでになる。柔和なお方で、ろばに乗り、荷を負うろばの子、子ろばに乗って。』」
マタイ21章5節(参考聖書箇所同書21章1?11節)

十字架の死に向かってのエルサレム入城の情景を描いた箇所です。ここにはゼカリヤ書九章九節にあるようにメシアは柔和な方でろばに乗ってやってくるとの預言の成就が意図されています。
人々が期待するメシアは、日常を襲う生活の苦しさ、病や災いを幸福と健康に変えてくださるお方でありました。そのようなメシアは力を持ち、人々を圧倒するような姿をもっていてよいはずです。でもここには、メシアは意気揚々と凱旋するかのような王として入城されません。
主は、受難と死によって人の罪に勝利される王であることを、とぼとぼと歩くろばに乗るという行為に表わされました。人々が常識で期待する勝利の王の姿とはまったく対極に位するものでありました。主は、低く低くいますお方であることによって人間の最も根っこにある罪に勝利する王であることを示されたのです。
もしわたしたちが、背中に負う罪の重荷に喘ぐろばのようであるなら、その重荷は、實はその重荷に勝利されるキリスト御自身に他ならないのであって、恵みの重荷であることを思うべきです。

賀来周一著『365日の聖書――創世記からヨハネの黙示録まで』

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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