神様に怒りをぶつけてもいい。【聖書からよもやま話579】

主の御名をあがめます。
皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。

本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は  旧約聖書、ヨナ書の4章です。よろしくどうぞ。

ヨナ書 4章1〜2節

ところが、このことはヨナを非常に不愉快にした。ヨナは怒って主に祈った。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

ヨナという人はある意味で聖書の中で最も度胸のある人と言ってもいいでしょう。この人は神様に対して面と向かって文句を言ったり怒ったりするんです。そんな人、他に見当たりません。嘆いたり悲しんだり苦しみを訴えたりする人はいても、面と向かってぎゃーぎゃーと怒る人はいません。

しかもその怒る理由というのが「暑かったから木陰で涼んでいたのにその木が枯れてしまったから暑い」とか、そんな理由だったりします。今日引用した箇所でも「不愉快」という理由で怒っています。不愉快だから怒ってクレームを入れる。現代に生きていたらカスハラ一直線な人です。

しかし、神様はそんなヨナに対して怒ったり罰したりせずに「あのね、君ね。なんでそんなに怒るのよ?」と、優しくたしなめたり指導したりしています。つまり神様はヨナを愛し続けているんです。

どうしてこんなヨナを神様は愛し続けるのでしょう。それはヨナが「祈った」という点に理由があるのかと思います。ヨナは神様に対して怒っても「神様なんかもう知らん!」とそっぽを向いてどこかに行ってしまったり、「もう神様の言うことなんか聞くもんか!」と神様に逆らったりはせず、怒ってもあくまで「神様!どういうことですかこれは!我慢できませんよ!」と、直接怒りの言葉を神様にぶつけている、つまり祈っているんです。「祈り」というのは神様とのコミュニケーションですから、これも一つの立派な祈りなんです。

旧約聖書で神様に罰せられた他の人たちをみると、みんな神様を無視したり軽視したり祈ることをやめてしまったりしています。しかしヨナはそうではないんです。あくまでヨナは祈りをもって神様に対峙しています。決して神様を無視したり軽視したりはしていません。むしろ重視しているからこそ怒るんです。

怒りというのは問いの一種だとも言えます。怒る人をよく観察してみると「どうしてだ!」とか「納得できないぞ!」とか、何らかの「答え」を求めていることが多いものです。「答え」を求めているということは、相手を無視しているわけでも軽視しているわけでもありません。ヨナはつまり、激しく強く神様に問うているんです。そして神様は自らに向けられた問いを無視する方ではありませんし、拒否する方でもありません。「君にはまだわからないことなんだよ」と答えを知らせてくれないことはあっても、「そんなの自分で考えろ!」とか「そんな問いをするなんて失礼なやつだ!」なんてことを言う方ではありません。むしろ問いに対しては真摯に向き合ってくれる方です。そんなわけで神様は怒るヨナに怒らず、優しく諭したのかと思います。

僕たちも神様に対して「これは理不尽じゃありませんか」とか「どうしてこんな目にあわせるのですか」と、怒りたくなることもあります。そんなときには怒ってもいいんです。怒って神様を無視したり、言いつけを守らないようになってしまっては困りますが、「神様どういうことですか!」と、ヨナのように祈りを通してその怒りを神様にぶつけてもいいんです。きっと神様はその「問い」に「君ね。あのね」と真摯に向き合ってくださることと思います。

主にありて。

MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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