白米を食べるのは、昔は「夢」だった【聖書からよもやま話549】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。

本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は  旧約聖書、詩篇の78篇です。よろしくどうぞ。

詩篇 78篇18節

彼らは心のうちで神を試み
欲に任せて食べ物を求めた。

(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

イスラエルの民はエジプトから脱出する旅の中で、神様にたくさんの文句を言いました。「こきつかわれていたとはいえ、エジプトにいれば命の危険はなかったのに!」とか「お腹がすいた!エジプトにいれば食べるのに困ることはなかったのに!」とかです。

特にこの食べ物についての要求は強いものだったようで、神様は「よしわかった、任せろ!」と、空からマナと呼ばれる食べ物を降らせて彼らに与えました。そのマナというのがどんな食べ物だったのかはよくわからないのですが、とにかくそれはとてもおいしかったらしく、人々はそれでまずは「神様すごい!ありがとう!」と満足しました。しかししばらくすると「マナ飽きた。肉食べたい。それもたくさん食べたい」と言い出しました。人間って一つの欲が満たされると、また新しい欲望を抱くものです。

僕たち現代人もまた同じです。何かを望んで、それが与えられたり叶ったりすると、すぐにそれを「あたりまえ」「当然の権利」と思ってしまい、さらに良いものを望んだりしますし、それを奪われると怒ったりします。

現在、日本人は米価の急騰に悩まされています。しかし過去を思えば白米を食べるなんて裕福な人にだけゆるされた贅沢でした。「白米を腹一杯食べる」というのが一生の夢という人だって、昔は少なくなかったはずです。しかし今、僕たちは「白米を腹一杯食べることができない!」と怒っています。いつの間にやら日本人にとって「白米を腹一杯食べる」ことは「生涯の夢」から「あたりまえ」に変わったんです。もちろんそれは多くの先人たちの長年の努力によって達成された豊かさですから、ありがたいことですし素晴らしいことです。日本が豊かになって、誰もが栄養のあるものを食べられるようになって、平均寿命も伸びました。

しかし一方で、僕たちが「あたりまえ」と思っていることを、与えられていない人たちも多くいるんです。僕たちが「あたりまえ」と思っていることは、実は誰かの「生涯の夢」かもしれないんです。

円安によって日本人は「海外旅行に行けなくなった!」と不満を漏らしますが、海外旅行なんて生涯に一度もしない人が決してすくなくありません。あるデータによれば中国の人の約半数は海外に行ったことがないそうです。日本だっていくらか昔なら海外旅行は富裕層にだけゆるされた「夢」でした。だからこそ「ニューヨークに行きたいかー!?」なんてキャッチフレーズに多くの人が夢を見て、大規模なテレビ番組が制作されたりしたんです。

僕たちが「あたりまえ」と思っていることは、実は「あたりまえ」ではなく、先人たちの知恵や努力、そして神様の恵みによって与えられているものなのだということを忘れてはいけません。僕自身も忘れてしまいがちなので気をつけねばと思います。

しかし、とはいえ。米は高い。もうちょっと安くなりませんか神様。

それではまた。

主にありて。

MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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